第338話 対インプ
この小さく醜悪で腹の出た悪魔を倒す以外に道は無い。
『アサシン』の効果を阻害しない様に心の中で雄叫びを上げながら向かって行く。
既にバルザードは起き上がると同時に溜めている。
狙うのはベルリアにも通用した理力の手袋との連携技しかない。
あいりさんが戦ってくれている間に再びインプに接近してから足首を掴んで引き倒しにかかるが、タイミングを見計らって掴んで思いっきり引っ張ったが短足の恩恵か若干バランスを崩したもののしっかりと踏み留まれてしまった。
こうなったら作戦を変更するしかない。
あいりさんと2人で倒すしか無い。
あいりさんはなぎなたの間合いを生かして必死で切り掛かっているがダメージを与えられていない。
俺はあいりさんの体を死角に使い、インプの前まで飛び込んでから、溜めた状態のバルザードを直接インプの頭に叩き込んだ。
「グェッ!」
カエルの鳴き声の様な音がインプから聞こえたが腕同様に受け止められてしまった。
「嘘だろ……」
進化したバルザードの一撃を直接叩き込んだのに、変な声を上げた以外なんとも無さそうだ。
流石にこの風貌でこの硬さは、こいつのスキルなのかもしれない。
ダメージは与える事が出来なかったが、しっかりとヘイトを集めた様で目の色を変えて俺に斬りかかって来た。
同じショートソード同士なので相性は悪く無いが、それはインプも同じ様で容赦無く斬り付けてくるので防ぎきれずに何度かナイトブリンガーに刃が届いてしまう。
力押しの剣術でベルリアの様な華麗さは無いが、圧倒されてしまう。
『斬鉄撃』
あいりさんが横から、隙を突いて斬りかかるが『斬鉄撃』も受け止められてしまった。
通常の武器で有れば砕けていてもおかしく無いのでインプの持っているショートソードも魔剣なのかもしれない。
一息つく暇も無くすぐに攻撃を繰り出すが、弾かれてしまう。
今のままでは拉致があかない。
「ミク、あいりさん、少しだけ時間を下さい」
「わかったわ」
「わかった。任せろ。いやああああ〜!」
俺は一旦、後ろに引いてから覚悟を決める。
俺の通常の攻撃では倒せない。俺の最大の一撃を叩き込むしか無い。
『ウォーターボール』
バルザードに氷を纏わせ『魔氷剣』を準備してすぐに溜めの姿勢に入る。
「ふ〜っ」
息を整えてから再びインプに挑む。
完全に見切られているので息を殺すよりも周りとの連携を優先する事にした。
「あいりさん、行きます。ミク、スナッチに『ヘッジホッグ』を」
俺の背後から鋼鉄のニードルが多数押し寄せると同時にあいりさんが引きそのまま
『アイアンボール』
至近距離から鋼鉄の玉をお見舞いした。
「グェッ」
流石に鋼鉄のニードルと玉の両方を捌く事は出来なかった様で、ニードルを弾いている最中に鋼鉄の玉をもろにくらった。
あの距離からくらえば今までの敵は潰れていた。残念ながらインプは健在だが痛みは有るようで一瞬怯んだので俺も思いっきり踏み込んだ。
「これで決まってくれ!『愚者の一撃』おおおおおお〜」
今の俺の最大の一撃は、溜めた魔氷剣を『愚者の一撃』を使い直接叩き込む事だ。
今まで使用した事は無いが考えてみてもこれ以上の一撃は考えられない。
インプの頭上から渾身の一撃を放つ。
「ギャアアアア〜」
ゴブリンよりもはるかに大きい叫び声が響いたが、インプはまだ生きている。
インプは俺の剣を受け止めるべく、腕で防ごうとして来たので、俺は腕ごとインプを真っ二つにする気で渾身の一撃を放った。
異様に硬い抵抗感と共に腕を切断する事に成功したが、そこで威力を削がれてしまい、本体を切断するには至らなかった。
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