第261話 脱出行

俺は今下層の武装オーガと戦っている。

一体を消滅させたが、ベルリアの方を見ると、まだオーガと交戦している。

やはり今までよりも手強い。

ベルリアとは身体の大きさが違いすぎる。

恐らくパワーもオーガが上だろう。

ベルリアがバスタードソードで受け流して応戦しており、何度か相手に斬りつけてはいるが、防具に阻まれている。

余計な事かとも思ったが、理力の手袋の力を使い、オーガの手首を掴んでやった。

一瞬不可視の手により動きを阻害されてオーガの動きが止まった瞬間を見逃さずベルリアが『アクセルブースト』を使いオーガの腕を切断し、返す刃で再度『アクセルブースト』を発動して、隙だらけになった胴体をぶった斬った。


「マイロードご助力ありがとうございます」


「次行くぞ!」


流石に隙をつけばベルリアは強さを発揮するが、体格差があり、余り相性が良いとは言えないな。

後方の3体に目を向けてすぐに向かう事にするが、既に一体はルシェにより葬り去られていた。


『鉄壁の乙女』により完全に攻撃はシャットアウトされているが、真司と隼人の持っている魔核銃ではオーガの装甲を突破することは出来ずに、ほとんど足止めとしての効果を発揮しておらず、一方的に責められている。

光のサークルに阻まれている所をルシェが仕留めたのだろう。

今の状態では『鉄壁の乙女』の効果が切れるとまずい。


「ベルリア右のやつを頼む。真司、隼人左の奴を集中攻撃だ。ルシェはベルリアのフォローをしてくれ」


ベルリアに右のオーガを任せて俺は左のオーガを倒しに向かう。

俺単独では、見切られる可能性があるので真司と隼人に注意を引いてもらう。


『必中投撃』


隼人はメインウエポンの槍を投げて勝負をかける。

槍は防具の上から刺さったが、本体の貫通までは至らなかったようで、正面の胴体に突き刺さったままになっている。

槍が刺さったままオーガが攻撃を試みる。


「うおおおおおぉおお〜!」


真司がそれに呼応して打って出た。

動きの鈍ったオーガに対して2刀流で責めて責めて責めまくっているが、力量差がありすぎるので長くは続かないだろう。


「どるああああ〜」


真司が踏ん張っている間を縫って、隼人がオーガの顔を狙って釘を投擲して注意を削ぐ。

2人の援護を受けたのでオーガに対して完全に気配を消す事が出来た。

気取られないように素早く背後に回り込んでオーガの背中に魔氷剣を突き入れる。

先程と同じように、そのまま胴体を切断して消失させた。

もう一体のオーガはベルリアが相手にした瞬間、ルシェが獄炎で消し炭にしてしまった。


「ルシェリア姫、ありがとうございます」


「ああ、この程度は問題ないな。ベルリアこの程度で苦戦してるようじゃな。もっと励めよ」


「はっ。更に精進いたします」


「ああ〜助かった〜。やっぱりここのオーガは迫力が違うよな。俺やばかったよ。斬り結びながら、ちびりそうだったよ」


「ああ、俺の槍の投擲でもしとめられなかったしな。かなりやばかった」


「まあ、みんな無事だったからよかったよ。この後も極力敵を避けながら行こうか」


「ああ賛成だ。何度も戦闘するのは厳しい」


「勿論そうしよう。俺もそれがいいと思う」


「海斗」


「何だルシェ」


「お腹が空いた。魔核くれよ」


「ご主人様私もお願いします」


「マイロード私もお願いします」


「わかったよ」


俺はスライムの魔核を取り出して、それぞれに渡しておいた。

この3人は安定というか空気読む気がないな。

まあ3人とも活躍したから良いけど。


お知らせ

9/1どこでもヤングチャンピオンで連載開始の漫画版モブから1話がなんとニコニコ静画でも公開予定です。

よろしくお願いします。

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