第240話 カフェは甘くて苦い大人の味
俺は今人気のカフェに来ている。
フランボワーズのタルトとブレンドコーヒーを頼んで食している。
タルトは想像以上に甘くて普段飲まないコーヒーは苦い。
だが目の前にいる春香が美味しいと言って、嬉しそうに食べている。
その瞬間に立ち会えただけで、俺はもう最高だ。
この瞬間を演出してくれている、この人気カフェもやはり最高だと言わざるをえない。
「春香は甘い物が好きなんだね」
「うん、ケーキとか特に好きなんだ。でも海斗も甘いもの大丈夫だったんだね。知ってたらもっと早く誘ってればよかったよ」
「もうね。甘いものでもなんでもいいよ。いつでも誘ってね」
「ここはね、オレンジピールのブラマンジェも人気みたいだから今度また来ようね」
「えっ、それじゃあ今からもう一個頼もうか?そのオレンジピールのブラマンジェ」
「2個も食べたら太っちゃうから、今度来ようね」
「はい。今度来よう。来週でも来よう」
「じゃあ来週また約束ね」
おお〜。やっぱりカフェ最高だ。来週も春香と来る事になってしまった。
オレンジピールのブラマンジェ。オレンジピールは英語でブラマンジェはフランス語だと思うがこの際そんな事はどうでもいい。人気メニューとして存在してくれていてありがとう。
正直美味しいかどうかもよくわからないフランボワーズのタルトを食べながら、春香とおしゃべりをしている。
「春香は、この連休は何をして過ごすか決まってるの?」
「うん、悠美達と、ショッピングモールへお買い物に行く約束をしてるんだ」
女の子達でのお買い物、時間がかかりそうだ。
「買うものって決まってるの?」
「うん、服とか買いたいなと思ってるんだけど、海斗は、3人で遠くのダンジョンに行くんでしょ?」
「ああ、そう。初めてなんで俺も勝手が良くはわかってないんだけど、最近ブロンズランクになったから、遠征にもいけるようになったんだ。真司と隼人はまだアイアンランクだから俺を誘ってきたんだよ」
「男の子って泊まりで行けるのっていいよね。合宿みたいで楽しそうだね。泊まる場所とか決まってるの?」
「真司達が手配してくれてるらしいから俺も詳しくは知らないんだけど、今回はお金も出してくれるみたいだから俺は飯ぐらいは奢ろうかと思ってるんだよ」
「ダンジョンって一日中潜ってるものなの?」
「まあ人によると思うけど、俺たちの場合一日中潜ってると思う。3人共ダンジョン中毒気味だから・・・」
「それって大丈夫なのかな?無理しちゃダメだよ。何事もやりすぎは良くないからね。周りが見えなくなる場合もあるから、3人の内の誰かは冷静にね」
「ありがとう。無理はしません」
「海斗、今までにダンジョンで危なかった事とかは無いの?」
「まあ、時々はあるけど・・・」
「あるの!?」
「いや、本当にちょっとだけだよ。ほんの少し」
「ダンジョンが大事なのはわかるけど、無理はしないでね。約束ね」
「はい。無理はしません。約束します」
本当は結構危ない事も有るのだが、春香の優しさを前に、結構有りますとは言えなかった。極力無理はしないよう努力はしようと思う。
これ以上ダンジョンの話になるとボロが出そうなので春香の話しに話題を変える事にした。
「春香って休みの日にやるような趣味はあるの?」
「趣味?結構色々あるんだけど、最近はね料理と写真かな」
「料理と写真?結構意外な感じがするけど」
「海斗、それって結構失礼じゃない?料理は趣味って言うか、前からよく作ってるんだよ。お菓子とかも作るし」
「いや、そうじゃ無くて写真だよ。写真が趣味の人って余り周りにいないから」
「最初はスマホで、周りの風景とか友達とかを撮ってたんだけど、だんだん撮るのが楽しくなってきて、デジタルカメラを買ってからは、電車とか車とか動く物にも興味が出てきて撮ってるんだよ」
「そうなんだ。俺は写真撮ることとかほとんど無いから、また機会があったら撮ってみたいな」
「本当に?それじゃあ今度一緒に、写真撮りに行こうよ」
「うん是非お願いします」
意外な春香の趣味が判明したのと、一緒に写真も撮りに行けそうなのでよかった。
ただ今のところ写真の良さや違いはわからないが、とりあえず俺の初カフェは甘いタルトと苦いコーヒーの味で、少しだけ大人になれた気がした。
あとがき
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