第200話 らららラ〜
俺は今苦しんでいる。
「ううっ。ルシェ、早く他も倒してくれ。うぇっぷ。」
「しょうがないな。それじゃあ頼まれてあげようかな。ふふっ。」
ルシェに焦らされるこの時間が辛い。生命を吸い取られていっている感覚がきつい。
ルシェが攻撃に移ろうとした瞬間、ベルリアが抑えていたオシリスが発光したと思ったら、なんと消失したはずのラーが復活してしまった。
よく見ると、そのままではなく干涸びた感じがあるのでミイラ化して復活したのか?
何れにしても、ラーとオシリスそれぞれが復活スキルを持っていたようだ。
これって、まさか無限ループなのでは・・・
「ルシェ・・・。遊んでる場合じゃないぞ。俺死んじゃう。」
何れにしても、この2体をほぼ同時に倒さなければいけないが、ルシェはともかく先程の戦いからもシルだけでは1体を瞬間的に倒す事は難しい。
どうすればいい。こうしている間にも俺の生命が減っていく。頭が正常に回転してくれない。
「る、ルシェ、さっきの『神滅の風塵』って連発できるのか?」
「まあ出来ない事はないけど、今は完全じゃないからな。ちょっと難しいかもな。」
出来ないのか・・・
どうする?オシリスの方はシルに賭けるか?
「シル、『戦乙女の歌』を発動してくれ。ルシェ、シルの力を借りて出来ないか?」
「やった事がないからわからないな。まあやってみるけど。」
「それじゃあ、ルシェ行きますよ。『戦乙女の歌』」
頭の中にシルの歌声が微かに流れて『戦乙女の歌』の発動を知らせるが、俺の状態は何一つ改善していない。残念ながら『戦乙女の歌』は生命を吸い取られている状況ではほとんど意味をなさないらしい。
「くたばれ死に損ない。二度と戻ってくるな。『神滅の風塵』」
再び、ミイラ化したラーに向かって急激に風が集中していく。
「お前も冥府に戻れ。『神滅の風塵』」
間髪入れずに今度はオシリスに向かって風の暴力が集約されていく。
やればできるじゃないか。どうやら『戦乙女の歌』の効果があったようで、連続してスキル使用が可能だったようだ。
ミイラ化したラーもオシリスも、ほぼ同時に消滅した。
あとはイシスだけだ。
「ルシェ、はやくしてくれ。もうだめだ。もう限界だ。」
「せっかく私が活躍したんだから余韻に浸ろうぜ。」
「そんなもん浸るわけないだろ。はやくしろ。まだ残ってるんだぞ!」
やばい、無駄なお喋りの所為で本当に限界が近づいてたので、慌てて低級ポーションを一気に呷る。
これであと2分以上は死なない。
「それじゃあ、そろそろやるけど、終わったら何してくれるんだ?」
「何ってなんだよ。とにかく急いでくれ。」
「一緒にシャワー。」
「は!?無理無理。絶対無理。」
「それじゃあ、このままもうちょっと休憩しちゃおうかな。」
「いや、それは困るけど、絶対無理。うぷっ。」
こいつはこんな時に何を言いだすんだ。それにしても気持ち悪すぎて吐きそうだ。
「それじゃあ、おまけしてお姫様抱っこしてくれよ。」
「お姫様抱っこ?」
「ちょっと眠くなってきたけど。」
「わ、わかった。終わったらお姫様抱っこな。してやるよ。」
「してやる?」
「くっ。さ、させてください。」
「そんなに頼まれたらしょうがないな。ふふふっ。」
俺の返事に納得したのかそのままイシスの方に向かって行って
「お前で最後だ。私のお姫様抱っこのために消えてなくなれ。『神滅の風塵』」
イシスに向かって再度風の力が急激に集まって行き、そのままイシスは消滅してしまった。
「ルシェ姫様。さすがです。素晴らしい。一生お仕えいたします。」
おいおい、ベルリアが恍惚の表情で変なこと言ってるぞ。仕える相手はルシェじゃなくて俺だろ。
しばらく様子を伺ったが、復活する気配はない。
とりあえずエリアボス3体の撃破に成功したようだ。とにかくよかった。
あとがき
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