第180話 11階層
俺は今11階層に来ている。
初めて踏み入れた11階層は10階層となんら変化なく正直拍子抜けしてしまった。
まあ10階層用に購入した装備が使い捨てにならないだけ良かったと考えることにした。
「なあ、みんな、なんか変わり映えしないよなぁ。10階層が続いている感じかな。」
「まあ、気を抜かずに行こう。」
「気をぬくと痛い目に会うのですよ。」
「多分10階層のままってことはないと思うわ。」
10階層未満の情報はネット等でもすぐ検索できるが、10階層を超えた階層の情報は、ほとんど出てこない。
階層的にも危険度が増すので情報にもかなり制限がかかっている。
賛否両論はあるものの、能力の足りない探索者が情報を基にしてむやみに下層に挑み事故が起きない様にとの措置だ。逆に情報がないと事故が増えるんじゃないかとも思ったが、今までの探索者は実力で階層を降りてきているので特に問題はないようだ。
k-12のメンバーも気を抜くようなことは全くなさそうなので気を張って臨むことにする。
しばらく進むと直ぐにモンスターと遭遇した。
「ご主人様、モンスターです。3体います。気をつけてください。」
なんだあのモンスターは?
人面犬か?
正面から凄い勢いで向かってきたのは巨大な人面犬?
いや犬ではないかな。ライオンか?
人面ライオン?
「海斗、多分スフィンクスよ。注意して。」
ああ、スフィンクスか。これが、かの有名なスフィンクスか。たしかにTVとかで見た石像のスフィンクスの特徴を備えている気がするが、リアルスフィンクスはちょっと気持ち悪い。
人面ライオン・・・
人面ライオンって普通のライオンより強いのか?
世界的に有名モンスターの出現に頭の中の動きが変な方に動いたのか戦闘に出遅れてしまったが、ベルリア、あいりさん、シルがしっかりと迎え撃ってくれた。
「人間だけではないな。悪魔が混じっているではないか。」
おおっ。喋った。3体のうちベルリアが相手にしているスフィンクスが喋った。普通の人間よりもかなり野太い声だが確かに喋っている。人面と言うことは頭の中は人間と同じものなのかもしれない。
「あのぅ。ちょっといいですか?」
「なんだ。殺すぞ!」
「いや、普通に喋れるんですね。喋れるんなら、仲良くなれたりしないですかね。なんか好物とかあったら持ってきてもいいですよ。ダンジョンにずっといるんですよね。」
「仲良くだ?ふざけてるのか。好物は人間に決まってるだろ。お前を喰わせろ。」
「あ〜それはちょっと難しいですね。本当はもっと貴方達の事も知りたかったんだけど、しょうがないですね。みんな殲滅するよ。ミク『幻視の舞』を頼む。カオリンはあいりさんの相手にしているやつに向かって『ファイアボルト』を頼む。俺はシルのフォローに入る。ベルリア1人で頑張れ。」
俺はそのまま、気配を薄めてから、シルと対峙しているスフィンクスに向かわず、大回りに迂回して後方に回っていく。
その間にベルリアが相手にしているスフィンクスが口から火の玉を吐いたが、ベルリアは向かってくる火の玉を避けずに斬った。
おおっ。火の玉って斬れるのか?と思い、すごいと感心してしまったが、次の瞬間斬った火の玉は真ん中から左右に少し別れたもののそのままベルリアの肩口に命中してしまった。火の玉は斬っても漫画のように左右に流れて行ってくれるわけではないようだ。それはそうとベルリア大丈夫か?
「くっ、やりますね。私にダメージを与えるとは、さすがですね。もう容赦はしません。」
なんか、漫画の主人公みたいな事を言っているが、格好つけずに避ければ良かっただけじゃないのか?
まあ大丈夫そうなので、自分の相手に意識を戻して集中する。
前までは、後方から飛び込んで一刺ししていたが、理力の手袋のおかげで斬撃を飛ばせるようになったので、最後の一歩を踏み入れる必要がなくなった。至近距離まで近づいてしまえば余程の事がない限り仕留める事が出来るようになってきた。
ゆっくり近づいてからライオンの尻尾の根元を目掛けて斬撃を飛ばして爆散させる。
やっぱりライオンの尻尾は揺れていたのでもしかしたら、ネコ科の特性を持っていれば猫じゃらしとかも効果があるかもしれない。
「きゃあぁぁ!」
背後から大きな悲鳴がしたので咄嗟に振り向いた。
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