第158話 新装備

俺は今9階層にいる。

きのう春香に付き合ってもらって10階層用の装備を購入したが、結構苦戦するかもしれないので10階層ではなく、慣れている9階層で新装備を試そうと思う。

すでにブーツ、マント、ヘルメットは装着済みだ。

まずブーツだが砂場ではないので性能はイマイチよくわからないが、今までのスニーカーより重くて歩きにくいしなんか硬い。

ブーツを履く事自体が初めてなので、慣れるまでにしばらくかかるかもしれない。

次にマントとヘルメットだが、どちらも非常に快適だ。

10階層のように暑くはないが、9階層でも効果は体感でき、体全体が涼しい。これならばかなり10階層でも効果的だろう。

ただ今までマントなんか羽織ったことがなかったので腕のあたりにひらひらするのが気になってバルザードの取り扱い時にちょっと鬱陶しい。これも慣れが必要かもしれない。

ヘルメットは今まで防具がなかった所に、防御効果と涼しさが相まって凄くいい。

9階層に来るのに1度10階層に飛んでから登ってきたのだが、10階層にたむろしていた探索者の視線を感じた気がするが、新品の新装備が目立っていたのかもしれない。

俺もより探索者らしく見えるようになったのかもしれない。

最後の新装備はベルリア用の新装備バスタードソードだ。

ベルリアを召喚してバスタードソードを見せてやると泣いて喜んだ。


「ああっ。マイロードこれは剣ではないですか。私に賜れるのですか。本物の剣を賜れるとは感激です。この剣が折れるまで必死で頑張ります。」


「いや、折れちゃダメだろ。折らないように頑張ってくれよ。」


「もちろんです。折らないように擦り切れるまで頑張ります。ううっ・・・」


「ど、どうしたんだ。なんで泣いてるんだよ。」


「いえ、木刀を見せられた時にはどうしていいか戸惑ってしまったのですが、お優しいマイロードが私のための剣を購入してくれたと思うと嬉しくて。」


「ああそれは良かった。そんなに喜んでもらえると俺も嬉しいよ。」


「この剣で次は魔剣を賜れるように頑張ります。」


いや、頑張っても魔剣は無理だと思う・・・


「ま、まあいいや、頑張ってくれよ。それじゃあその剣を使って敵を倒してみてくれよ。」


「まかせてください。」


しばらく歩いているとシルが


「ご主人様、敵がいます。3体です。」


「ベルリア頼んだぞ。3体は厳しいだろうから1体は俺が受け持つよ。」


「何をおっしゃいます。せっかく賜った剣のお披露目なのですからマイロードは後ろでゆっくりとご覧になってください。」


「ああ、そうか。じゃあ危なくなったらすぐに助けるからな。」


「ありがとうございます。頑張ります。」


なんかベルリアは頑張りますが多いな。まあぼちぼち頑張ってくれると嬉しいんだけど。


ベルリアが敵に向かっていくのを俺も追って行くが置いていかれる。

張り切っているのか速くなっている気がする。

リザードマンとホブゴブリンを発見すると同時に、ベルリアが素早くリザードマンの懐に飛び込むとそのままバスタードソードを一閃し倒してしまった。

目には見えるもののタングステンロッドの時よりも明らかに速い。

やはり騎士にとって剣は特別なのかもしれない。やはり棒では本来の力が出せなかったのかもしれないが、俺にとってはタングステンロッドもかなり重宝する武器だったのに。


返す剣でもう一体のリザードマンを斬りにかかったが、流石に相手も読んでおり、武器で受け止められるが、押し合わずにそのままスルッと横に抜けて斜め後ろから斬り伏せた。

残ったホブゴブリンと相対したが今度は適度な距離を保って間合いを測っている。ホブゴブリンがフルスイングで攻撃して来たのをさっと避けてそのまま踏み込み腕を斬り落とした。


「グギャギャギャー」


暴れるホブゴブリンをそのままあっさり斬り倒してしまった。

強い。マッチョなおっさんの時には分からなかったが、ベルリアは技巧派だ。今の小さい体で、力押しではない、素人の俺から見ても修練された技術で敵を倒した。

チビだけどカッコいいな。やはりこいつは努力の悪魔だ。俺も今度剣術教えてもらおうかな

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