第150話 完落ち

俺は今ギルドの奥の部屋へ通されている。


「高木様。たしかゴッズ系のカードの事を尋ねてこられたちょっと後に、デビルズ系のカードの事も聞いてこられましたよね。」


「日番谷さん、記憶力良すぎないですか。ああそれもですね、その後にも2枚目のサーバントカードを手に入れまして。」


「はい。」


「そのカードも結構レアカードでして。」


「はい。」


「子爵級悪魔だったんです。」


「え、ええっ。」


「そういう事なんです。」


「それでは、高木様はバルキリーと子爵級悪魔の2体を使役しているという事でしょうか?」


「まあ、そういう事になります」


「はあ。ちょっと信じられないような話ですが、サーバントカードを見せて頂く事は可能でしょうか。」


「はい。どうぞ。」


もう隠す意味もないのでカードを取り出して渡した。


「信じられません。本当なのですね。こんな事ってあるのですね。こんなレアカードが2枚も。」


「もういいですか。」


「それはそうと士爵級悪魔を倒した際の魔核はどうされたのですか。」


「ああ、それなんですけど魔核はでなかったんです。」


「それはどう言う意味でしょうか。」


「ちょっと言いにくいんですけど、サーバントカードが出まして。」


「それは何のサーバントカードが出たのでしょうか?」


「それが、士爵級悪魔のカードなんです。」


「ええっ。それは、もしかして先程の倒したとおっしゃっていた悪魔でしょうか。」


「はいそうです。」


「見せていただいてもよろしいでしょうか。」


「はい。大丈夫です。」


俺は言われるままに日番谷さんにベリエルのカードを渡した。


「これが9階層に現れた士爵級悪魔ですか。いかにも強そうな見た目ですね。」


「ああ、まあ、そのカードの見た目は強そうなんですけどね。」


「高木様、このカードはどうするおつもりでしょうか?もし売却すればかなりの金額になると思われますが。」


「はい。色々考えて見たんですけど、とりあえず使っていこうかと思ってるんです。なんか妙に懐かれたんで。」


「まさか、もう召喚されたのですか?大丈夫でしたか?」


「大丈夫って何がですか。」


「いえ、呪いとか大丈夫でしたか?」


「あっ!」


完全に忘れていた。ルシェを召喚しても大丈夫だったから呪いの事を失念していた。今のところなんともないが、俺大丈夫か。今になって心配になってきた。


「たぶん大丈夫です。今のところ大丈夫なんで、たぶん・・・」


「そうですか。それにしてもこれほどのレアカードを3枚も所有している方は見た事がありません。 」


「そうですか。自分ではそんなに意識した事はないんですけど。」


「失礼ですがこれほどのサーバントを従えているのであれば、もっと上のランクも目指せるのではないですか?少しほかのメンバーの方との戦力差がありすぎるかと思うのですが。」


「いえ、サーバントなんですけどレベル1に戻ったせいか、弱体化してるみたいなんです。それに、メンバーのみんなは、今回の戦いでも命がけで俺を守ってくれましたし、かけがえのないメンバーなんです。いつも助けられてるのは俺の方なんで。俺には今が一番なんです。」


「そうですか。大変失礼いたしました。皆様の関係性を無視した発言申し訳ありませんでした。」


「いや、全然大丈夫です。」


「それでは、オルトロスの魔核ですが、買取金額が2000万円となりまして、ブロンズランクの特典として7パーセント加算されますので2140万円となります。」


「2140万円ですか!?そんなにもらえるんですか。家買えますよね、家。」


「申し上げ通り、オルトロスは神話に出てくる類のモンスターですので、魔核も別格となります。このクラスの魔核は市場にほとんど出回ることがありませんので、適正な価格で買取させていただきます。」


「やっぱり探索者ってすごいですね。自分の力だけではないのはわかってるんですけど、この半年間の稼ぎがすごい事になってるんですけど。」


「今回の入金は高木様に全額、お振込でよろしかったでしょうか? 」


「いやいや、4等分でお願いします。 それにしてもこの半年間がすごい事になってるんですけど、探索者ってやっぱりすごいですね。」


「いえ、すごいのは高木様です。確定申告用の資料は言っていただければいつでもお渡し出来ます。」


「えっ。確定申告ってなんですか。」


「講習の際にも申し上げましたが、探索者特別控除額の135万円を超える探索者としての収入は申告義務がございますので、高木様は今年から青色申告をする必要がございます。」


「青色申告・・・。ああ、そうなんですね。具体的にどうすればいいんですかね。」


「年度末に記帳指導もギルドでさせていただいておりますが、心配でしたら税理士の先生をご紹介することもできます。」


「税理士の先生ですか・・・」


「一応念のため申し上げますが、経費として購入した物品の領収書は保管されていますか?無ければ経費として認められませんのでくれぐれもご注意下さい。最後に税金を納める必要がございますので、ざっくりと収入の3割程度は使わず残しておくことをお勧めします。」


「ああ、そうなんですね。ありがとうございます。」


やばい。完全に忘れていた。殺虫剤を大量に購入しているがスーパーのレシートはその場で捨てていた。

確定申告。名前だけは聞き覚えがあるが全くわからない。俺でも税理士の先生雇えるのだろうか。

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