第149話 半落ち

俺は今ギルドの奥で詰問されている。

俺は何も悪いことはしていない。むしろモンスターを倒して褒められてもいいぐらいだと思うが、なぜか問い詰められている。


「高木様。ずっとおかしいとは思っていたんです。何年もウッドランクだったのに急にランクも上昇し始め、装備も急速にレベルアップしているようですね。何かコツを掴んだのかとばかり思っていたのですが、今回の件で確信しました。何か隠してますよね。」


「い、いやだな。一庶民の僕がギルドに隠し事なんかねえ、ははは。」


「高木様。ギルドとしては今回の一大事に一刻も早く対応する必要があります。仮に高木様達が虚偽の報告をして対応が遅延した場合、除名等の措置もあり得ますよ。」


「う、うう。確かに言われている事は分かります。それなら、9階層にオルトロスはもう出ません。大丈夫です。封鎖しなくても大丈夫です。」


「高木様、どう言う事でしょうか?」


「いや。原因がなくなったと言うか、無くしたと言うか。」


「高木様。」


「あ、オルトロスが9階層にいたのは士爵級悪魔のせいなんです。士爵級悪魔が暇つぶしに連れてきてたんですよ。スタンピードとか恐竜もそれが原因ですよ。」


「高木様、今何とおっしゃいましたか?」


「いやだから士爵級悪魔が原因だったんですよ。」


「高木様、士爵級悪魔が原因と聞こえましたが、その悪魔はどうされたのですか?」


「いや、俺達で倒したからもう安心ですよ。なあみんな。」


「「「あ〜。は〜。」」」


みんな、なんだその返しは。


「高木様。士爵級悪魔を倒されたというのは本当でしょうか。」


「本当です。これは本当。だからもう大丈夫。大丈夫ですよ。」


「ちょっといいかな。今の話が本当だとすると全く大丈夫じゃないんだが。」


上司の人がおかしな表情で話しかけてきた。


「いや本当に倒しましたからもう大丈夫です。間違いないです。」


「そうか。本当に倒したならそれは素晴らしい事だが、問題はどうやって倒したかなんだよ。オルトロスだけでも、君達では手に余るはずだ。それが士爵級悪魔まで倒したと言う。これのどこが問題ないのかな。問題しかないよな。」


「うっ。ま、まあ確かにちょっと、運が良すぎるのかな。ははは。」


「高木君。私は真剣な話をしてるんだよ。」


「う、う〜ん。あ、あれです。魔剣が進化して超強力になったんですよ。」


「ちょっと見せてもらっていいかな。」


「はい、いいですよ。」


そう言ってバルザードを渡した。


「高木君、私は鑑定のスキルを持っているんだ。だからこの魔剣が素晴らしい性能を秘めているのはわかる。わかるが、ブロンズランクのパーティがこの魔剣1つで勝てない事ぐらいもっとわかる。他にはないのかな。」


「ああ、この理力の手袋で魔剣の斬撃が飛ばせるようになったんですよ。」


「ちょっと見せてもらうよ。・・・ 高木君魔剣との相性は素晴らしいアイテムだよな。でもこれじゃないよな。」


「はい・・・」


俺は追い詰められてとっさにメンバーに助けを求めるべく視線を送ったが3人が3人とも、なんとも言えない諦めの表情を浮かべている。

だれか助けてくれ。


「高木様。何を隠しているんですか。」


「あ。あのですね。実はですね、今年の春にドロップアイテムを拾いまして。」


「はい。」


「それがですね。サーバントカードでして。」


「はい。」


「そのサーバントカードが結構レアカードでして。」


「はい。」


「あのですねヴァルキリーなんです。」


「は、はい!?」


「いやだからですね、ヴァルキリーです、半神の。」


「高木様、そう言えば以前、サーバントカードの事を聞いてこられましたね。確かゴッズ系の話しを聞いてこられましたよね。」


「はい。参考になりました。その節はありがとうございました。」


「ちょっと待ってください、そういえば・・・・」

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