第102話 寝込みました
俺は今、ベッドの中で寝込んでいる。
昨日、ダンジョンで溺れたせいだと思うが、腹を壊した上に発熱してしまいベッドで寝ている。
俺が病気でダウンするのは2年ぶりなので、ダンジョンの凄さがわかるというものだ。
昨日の夜もお腹は痛かったものの、寝れば大丈夫だろうと安易に考えていたが朝起きても体調が戻ることはなかったので、直ぐにパーティメンバーに連絡を入れて寝込んでいる。
流石にちょっと怖いので休日当番医を調べて、検査に行くことにした。
病院に着いて事情を話すと結構年配の医者の先生に
「あ〜。それはちょっとまずいかもしれないな〜。血液検査だね〜。大丈夫かな〜。う〜ん。」
先生、俺まずいですか。大丈夫ですかね。
正直この先生の言い方が心配を増幅させる。
何年かぶりに採血され検査の間ベッドで寝かせてもらっていたが、1時間ほどで検査結果が出たようで再度、先生に呼ばれた。
「う〜ん。どうしてかな〜。」
なんだ。この間は。俺やっぱりやばいのか?
「特に異常は無いようだな〜。ちょっと脱水症状気味だけど、細菌関係は出てないし、特に白血球の値も変化ないから目立った炎症箇所もなさそうだし、胃腸を整える薬と解熱剤だけで大丈夫じゃないかな〜。う〜ん、どうしてかな〜。」
先生本当ですか?何か隠してないですか?言葉の端々に不安を覚えるんですが。
とりあえず薬をもらい、どうしようもないので家に帰って寝ることにした。
とりあえずもらった薬を飲むと、体調も落ち着いたので、今度は手持ち無沙汰になってしまった。
残念ながらダンジョンでのスキルは地上では使用することはできないので練習もできない。
練習できないので脳内トレーニングするしかない。
想定する相手は8階層の巨大カバだ。まずは単体の敵をイメージする。
まずは、魔核銃を連射しまくる。撃って撃って撃ちまくる。マガジンを装填し直して五十発撃ち尽くしたところでカバは消失した。消失はしたがあまりにハイコストで勿体無いので非現実的だと思い直して、今度は魔氷剣で迎え撃つことにしたが、小型ダンプカーを思わせる突進に怯んでしまった。怯んだ瞬間に踏み潰されてしまった。怯んだら負けだな。
今度は怯まず正面から迎え撃つことにした、カバの巨体が突進してきたのをグッと堪えて、レイピアで突いてみるが、勢いが勝り、倒す前に俺が吹き飛ばされてしまった。
それならば次はマタドールのイメージで躱しながら突こうとしてみたが、あまりの巨体に避けることができずにやはり弾き飛ばされた。色々想定してみたがこの巨体相手には遠距離攻撃以外に対処出来そうにない。
まず1人で対処すること自体が難しいが群にでも遭遇したらもうお手上げだ。
次にフタバススキ竜を想定してみる。
今度も魔核銃を撃って撃って撃ちまくるが、正直全く効いた気がしない。
頭に向けて『ウォーターボール』を放ってみたが、上手く目にでも刺さらない限り効果は薄そうだった。
正直この小山の様な怪物相手に魔氷剣でどこを斬っていいのかわからない。よくアニメで竜退治のシーンがあるが、一体1Mそこらの刃でどうやって巨大な生物を斬る事が出来ると言うのか?超絶スキルや超パワーの剣で一刀両断しているイメージがあるが、現実にそんな事が出来る人間っているのだろうか?
少なくとも現状の俺には出来そうにない。どう贔屓目に見てもK-12のメンバーでは致命傷を与えることはできないだろう。もし出会ったらこれしかない。
死ぬ気で逃げる。
俺は脳内でも本気で逃げてしまった。
トレーニングが終わってすることがないので、部屋を物色していると、今は亡きドローンの説明書が2冊見つかった。
暇なので1号2号ドローンを回顧しながら読み直してみることにした。
普通に構造の説明から操作方法までか書かれており、俺の使い方通りだったが一通りの説明の後にもう一つの使い方説明が載っており、よく読んでみると、このドローンはもともと探索専用に作られたものではないとの事。その為、先に記載のあった使い方が一般的である事。そしてモンスターを目的とした場合は着水させずにホバリング状態から魚探部分だけを投下出来る事が記載されていた。しっかり米印でモンスターによる破損は保証対象外の旨も記載があった。
よく読めばよかったが、こんなに後ろに書かなくてもいいじゃないか。
今後は端から端までしっかり説明書は読むことにしよう。
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