第83話 魚群探知機

俺は今、探索者ギルドに来ている。

トビウオの大群を仕留めたあと、今のメンバーなら問題ないが、このままK-12のメンバーで土曜日に潜る事は難しいと感じた為、アドバイスを求めてギルドまで戻ってきたのだ。

いつものように日番谷さんのところに並ぶ。


「あの、魔核の買取お願いします。」


そう言って8階層で取れた魔核を全部カウンターに出した。


「全部で23個ですね。こちらの20個が1個2000円です。残りの3個が1個2500円になります。」


「わかりました。それでお願いします。」


トビウオの大群のおかげで47500円にもなった。結構効率よく儲かったのでテンションが上がる。


「高木様、他のパーティメンバーには分配しなくても大丈夫ですか?」


「え?今日は一人で潜ってたんで大丈夫ですよ?」


「そうでしたか失礼いたしました。見たところ8階層の魔石ですのでパーティで潜られたとばかり思ってしまいました。お一人で8階層を潜られるとは大丈夫でしたか?」


「ああ、なんとか一人でも行けました。ただ水場からモンスターが突然現れて襲ってきて心臓に悪いので、なんかいい方法があったら聞きたいと思って。」


「そうでしたか。」


「他の探索者の方達はどうしてるんですかね


「そうですね。いくつか対策がありますが、まず一番有用なのは探知系のスキルですね。ただ購入する場合は非常に高額です。人気のあるスキルなので3000万円はします。」


「3000万円ですか。無理ですね。」


「次に現実的な対処法として多くの探索者の方が使われてるのは魚群探知機ですね。これもいくつかタイプがありまして、紐がついていて投げ入れるハンディタイプと、ドローンを飛ばして着水させるタイプに分かれます。ハンディタイプのものは値段は安いのですが、手で投げるには近づかないといけませんので、釣竿を持ち込んでキャストするという手もあります。ドローンタイプは遠隔で飛ばして着水させることができるので、安全面ではこちらをお勧めします。最近は小型化されておりますので持ち運びも苦にならないかと思います。ハンディタイプは釣り具店にもあると思いますがドローンタイプはダンジョンマーケットで売られてますよ。」


「ちなみに値段はどのぐらいしますか?」


「ハンディタイプの投げ込み式が3万円ぐらいで、ドローンタイプは20万円ぐらいしますね。」


「う〜ん。結構しますね。ドローンタイプだと今日の分だけじゃ足りないですね。ありがとうございます。」


正直やすい方に惹かれる。自分一人で潜る用なら、迷う事なくハンディタイプ一択だろう。しかし、今回はパーティメンバーがいる。俺以外はみんな女の子なので、できる限りリスクを減らしておきたい。

ドローンタイプだな。もう明日の探索で稼ぐしかない。今日の分を差し引いて15万円。1日の稼ぎとしてはかなり高額だがやってやる。


次の日俺はハンターと化している。

手段を選んでいる余裕はない。

シルに出来るだけ魚群らしきのを探してもらって『鉄壁の乙女』の中から魔核銃を乱射してとにかく魔核を回収する。

途中、魚群ではなく巨大なウーパールーパーのようなものが出現し、姿にちょっと油断していると溶解液を吐き出してきて、危うく骨だけにされるところだった。やはり8階層は甘くない。


その他にも角の生えた巨大な魚や、巨大なカワウソの様なモンスターも出たりした。

どちらのモンスターも『鉄壁の乙女』に阻まれて相手にならなかったが、明日、相対したら結構な難敵だろう。

この階層はモンスターの種類が今までで一番多いかもしれない。

狩って狩って狩りまくる守銭奴ハンターになりながらも、結構遅くなったので今日は帰ることにする。

明日、朝一で換金して、ドローンを買ってからメンバーと合流することにしよう。

きっとみんな喜んでくれるはずだ

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