第78話 進路

俺は今日も7階層に潜っている。メンバーは昨日と同じだ。

10時から潜っているのでそろそろお昼の時間だ。


「あと1回戦闘したら、お昼休憩にしようか。」


「「「はい」」」


しばらく探索していると3体のゴーレムに遭遇したので臨戦態勢にはいる。

ちょっと慣れてきたので今までと違うパターンも試してみる。


「あいりさん、俺と一番左のブロンズゴーレムを速攻で倒しましょう。ミカはスナッチで隣のアイアンゴーレムを足止め、カオリンは一番右のアイアンゴーレムに『アースウェイブ』を頼む。」


俺はあいりさんと一番左のゴーレムに向かって行って挟撃する。あいりさんが薙刀のリーチを生かして攻撃している間に 「ウォーターボール」を発動して バルザードを魔氷剣化してそのまま横から、ゴーレムを斬り伏せた。消失を確認すると同時に2人で隣のゴーレムに向かい、スナッチと共闘する。

ゴーレムがスナッチに気を取られている間に2人で左右から滅多斬りにする、すぐさま最期のゴーレムに全員で臨み、危なげなく仕留めることができた。

今回は攻撃力の高いメンバーが共同で戦い、そのまま押し切ったが、思ったより上手くいった。数的優位がある時にはかなり有効だろう。


7階層で比較的見通しの良い所を選びお昼休憩をとることにする。

俺の今日の昼ご飯は、コンビニの昆布おにぎりとウインナーパンだ。

他の3人を見るとお弁当を食べているが、それぞれかなり豪華だが、どうやら母親か誰かに作ってもらっているようだ。

コンビニのおにぎりとパンも非常に美味しいのだが、一人だけ浮いてる感は拭えない。


「あいりさんって大学生なんですよね。どこの大学にいってるんですか?」


「ああ、言ってなかったか、私は王華学院に行っているんだよ。大学行きながら探索者を続けたいと思っているんだ。」


「王華学院ですか。凄いじゃないですか。あいりさんさすがですね。」


王華学院は地元にある大学だが、結構偏差値が高く、お金持ちの割合が高いので有名な大学だった。やっぱり愛理さんはお金持ちの子女で間違いないらしい。


「え〜。あいりさんも王華学院なんですか?私も来年受験しようと思ってるんですよね。受かったら先輩ですね。よろしくお願いします。」


「そうか、ミカも王華学院志望なのか。やっぱりな〜。」


「海斗はどうするの?」


「俺は、大学行きながら探索者したいから進学はしようと思うけど、まだ志望校は絞れてないんだよな。」


「せっかくだし、海斗も王華学院受けてみたら?」


「俺が王華学院?ちょっと場違い感がすごくないか?」


「多分誰も気がつかない、いえ、気にしないから大丈夫だと思うけど。」


さっき気がつかないと言いましたね。ミカさんしっかり聴こえてしっかり傷つきました・・・・


そんな話をしながら、午後もゴーレムを狩ってから、来週の約束をして解散した。


次の日学校に来てから

真司と隼人に進路を訪ねてみた。


「まあ一応進学希望だけどまたどこ受けるかは決めてないな。」


「俺も、もうちょっと頑張らないと志望校に点足りないんだ。それはそうと海斗くん葛城さんに進路聞いてみたのか?」


「え?聞いてないけど。」


「聞いた方がいいんじゃないかな〜」


今まで全く気にしていなかったが、そう言われるとやっぱり気になる。


放課後までチラチラ見ながらタイミングを見計らって、葛城さんが一人になったところに、すーっと近づいて行って聞いてみた。


「葛城さんちょっといいかな。あの、進路の事なんだけどもう決めてたりする?」


「うん一応決めてるよ。出来たら王華学院に行けたらいいなと考えてるんだけどね。」


「え?葛城さんも王華学院志望なんだ」


「私もって事は、もしかして高木くんも王華学院志望なのかな?」


「え、あ、まあ、そう、そうなんだよ。偶然だなあ、俺も王華学院に行ければいいなあと考えてたんだよ。うん、本当に奇遇だなぁ。ははは。」


パーティメンバーの事とは言えずに、思わず答えてしまった。


「そうなんだ。じゃあ一緒に通えるといいね。小学校からずっと同じ学校なんてちょっとすごいよね。

もしかしたら運命かもしれないね。」


「うん。そうだね、同級生になる運命だね。そうに違いないです」


この前の映画では、運命的な2人も高校卒業を機にお別れしていたが、俺は残念ながら付き合っているわけでもないのでこれには当てはまらないだろう。

まあ、受かるかどうかもわからないので、運命かどうかは全くわからない。ただ、大学は4年間もあるので葛城さんとキャンパスのどこかで会えるかもしれない。

いやそうなったら最高だな。もうこれは頑張って王華学院に合格するしかないな。

あいりさんにもダンジョンで勉強教えてもらおうかな。

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