第77話 上級職?

俺はパーティコードKー12のメンバーと7階層に潜っている。


「さっきの魔剣士っぽいのもいいけど、前のふらふらしながら後ろから、仕留めるスタイルも結構いいと思ったんだけどな。」


「そ、そうかな。まあ魔氷剣は制約が結構あるから、また後ろからとどめを刺すスタイルも使うとは思うけど。」


「わたしも、忍者スタイルがいいと思うのです。忍者カッコいいです。魔剣士は海斗さんとちょっとイメージが違うのです。ちょっと存在感が強すぎるというか。もっと存在感が薄い方がイメージに合っているのです。」


「そう。存在感ね・・・じゃあ次は後ろからやってみるよ。」


「そうか。また忍者に戻るんだな。いっその事、あの存在感の薄いスタイルにさっきの魔氷剣とやらを組み合わせたらどうだろう?ふらふら近づいて、ドカンとやってみたらどうだろうか」


「魔法と魔剣を使う忍者で、魔忍って結構いいんじゃない?」


「魔忍、なんかカッコいいのです。」


「いや。魔忍って、そもそも俺、忍者じゃないし。勝手に名付けられても困るんだけど。しかも探索者にジョブシステムなんか無いし。」


なんか話がおかしな方向にいってしまっている。とにかく存在感が薄い事を褒められているのかディスられているのかよくわからない。

存在感の薄い魔忍、一見かっこいい様な錯覚を覚えるが、明らかに俺の目指している英雄とは方向性が違う気がする。要は誰にも相手にされない路傍の石のような存在なだけなんじゃないだろうか。


その後気を取り直して、探索を再開することにした。


「みんな、あっちにゴーレム3体発見だ。カオリン以外が一体づつ受け持つよ。片付いた人から各自サポートに入って。カオリン左端の奴にタイミングを合わせてファイアボルトを頼む」


俺はとりあえず、左端のアイアンゴーレムに目標を定めて距離を詰めていく。


「カオリンいまだ。頼む」


「ファイアボルト」


カオリンの魔法の発動と同時に全速力でゴーレムの左脇を駆け抜け、着弾と同時に後ろに回り込む。


「ウォーターボール」


そのまま近づいて後ろから胴体を切断した。

消失の瞬間隣を見てみると、スナッチとあいりさんがそれぞれ、ゴーレムを牽制しながら戦っている。

俺はまずスナッチの相手をしているゴーレムの方へゆっくり、そーっと近づいて行って、後ろから魔氷剣を一閃、瞬時に消失させる。

最後の一体もあいりさんと交戦中の為、完全に周りには意識がいっていない。即座に最後のゴーレムの方にゆっくり近づいていっても、全く気付く様子がないので、そのまま後ろから突き刺して爆散させた。


「やっぱり、魔忍スタイルいいんじゃないか?後ろからバッサリでちょっと悪役っぽいけど」


「結構、サマになってたじゃない。やっぱりさっきのスタイルの方が正面からやり合うより、海斗にはしっくりくる気がするわね。」


「魔忍いいと思います。ふらふらした感じと、気配を消す感じがいい感じなのです。」


「あのう。別にフラフラしてただけじゃないですよ。それに気配も消した訳ではないというか、そんな技術持ち合わせてないんだけど。」


「すごいな。ナチュラルボーン魔忍じゃないか。羨ましいな、私も侍とかやってみたいな。」


「いや、ナチュラルボーン魔忍って。そもそも侍も今の時代いないですよね。」


まあ、それなりにいい感じで出来たと思うので、魔忍というのはちょっと置いといて、臨機応変に武器とスタイルを変えていければ良い気がする。

このパーティでも問題なく7階層を探索できているので、シルとルシェの3人で来週8階層に挑んで問題ないようであれば、このパーティでも来週末にでも8階層に挑んでみようと思う。

どうせなら悪役っぽい魔忍よりも正統派の魔剣士に憧れる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る