第65話 新しい二つ名?

昨日に引き続いて今日も俺は7階層に潜っている。

今日のメンバーは岡田、高木、倉井、本田となっている。

なぜか今日も全員男だ・・・

やっぱり作為を感じる。

既に俺を除く11名の男性のうちの6名と組んでいる。なんか確率高すぎないだろうか。

まあ、今日も迷惑をかけないようにダンジョンに没頭しよう。

そうしよう。

今日のメンバーのうち岡田さんと本田さんは年上で倉井くんは1歳下だった。

今日も男性ばかりのせいか、前衛ばかりだ。ただし、昨日と違って倉井くんは盾役メインだそうだ。

案外今の俺のスタイルと合うかもしれない。

今日のリーダーは本田さんに決まったので、探索を開始する。

30分ほど探索すると、ようやくモンスターに遭遇した。

アイアンゴーレム、ブラストゴーレム、ストーンゴーレムの3体だ。


「高木くんと倉井くんで、アイアンとブラストを引きつけてくれ。俺と岡田さんでストーンゴーレムを先に仕留める。そのあと加勢して撃破するぞ」


俺はアイアンゴーレムを引きつけることにしたが、正直ゴーレム相手に盾では怖い。

距離を取って移動しながら、魔核銃を発砲する。

もちろん破壊を目的とするものではなく、注意を引くために、注意が逸れそうになる度に発砲した。

途中向かってくるそぶりも見せたので、極力距離を取りながら注意をする。

横では倉井くんが大型の盾を持ってブラストゴーレムに接近戦を挑んでいる。

挑んでいると言うか、盾を構えて近距離で避けている。かすったりもしているが、正面から受けずにうまく流している。正直、ただ受け止めるだけの俺の盾の使い方とは全く比較にならないので本当にすごいと思った。

2人で注意を引いている間に本田さんと岡田さんがストーンゴーレムを左右から一刀両断した。

すごい。剣で普通に切った。おそらく普通の鉄製とかではないのだろう。


ストーンゴーレム消失後すぐに合流して2対1の状況を作った。

俺は岡田さんとアイアンゴーレムの相手だ。

昨日と同じように大回りに側面を周りこもうとするが、ゴーレムも追ってきてしまった。

魔核銃で牽制しながら、盾を構えてとにかく距離をとり、被弾しないように蛇行しながら後退する。


「ブォーン!」


ゴーレムのパンチが体の脇を通り過ぎて、ものすごい風切り音がする。正直こんなのを食らったら、盾を持っていたとしてもただでは済まないだろう。それこそ生身に食らったらひとたまりもない。

焦りながら避け続けていると背後から岡田さんがゴーレムを切った。

その瞬間ゴーレムは胴体からずれて、そのまま消失した。

今回は、結果的に俺がおとり役になって倒すことができたので、まあ良かったが、ちょっと肝が冷えてしまった。

倉井くんの方を見るとこちらと同じように倉井くんがおとり役で攻撃を避けながら、背後から本田さんが斬り伏せていた。

やっぱり倉井くんはうまい。それに本田さんも、なんか侍みたいでカッコいい。ちょっと憧れる。


次に向かう際に他のメンバーには、金属系のゴーレムが出現した場合、俺にやらせて欲しいとお願いをしておいた。 魔剣バルザードが金属系のゴーレムにも通用するか、一度試しておきたかったのだ。


うろうろ4人で探索していると、上手い具合にアイアンゴーレム2体が出現した。


早速左側のゴーレムを相手にする。

お願いしておいたので、岡田さんが先に近づいて牽制してくれる。

その隙にアイアンゴーレムの背後に回りこむ。流石は岡田さん、完璧に注意を引いてくれているようで、ゴーレムが全くこちらを気にする様子がない。

俺は出来るだけ気配と音を消し、一気に距離を詰め魔剣バルザードで一突き。そのまま今度は叩き切るイメージを重ねて横薙ぎにバルザードを振るった。。


「ズッ、ズズッ」


バルザードの一突きは、アイアンゴーレムの躯体を全く問題とせず、そのままゴーレムの胴体がずれて消失してしまった。


「おいおい、なんだよ。何をしたんだ?そのステーキナイフは一体なんなんだ?反則だろ。」


岡田さんが声をかけてきた。

隣で戦闘を終了させた、本田さん達も合流してきた。


「そのステーキナイフそんなにすごいのか?今度は俺と組んでくれ。実際に威力を見てみたい。」


そう言われて今度は本田さんと組むことになり、そのまま次に出てきたブロンズゴーレムを相手にすることになった。


本田さんが威嚇してくれている間に後方に回り込む。今度も本田さんが上手いのか、ゴーレムは俺の事を全く気に止める様子がない。

いける感覚があったので、そのまま近づいて一突き、イメージは破裂。


「ボフゥン!」


ブロンズゴーレムの腹が弾け飛んだ。


「おおっ。すごいなそのステーキナイフ。いったいどこで売ってるんだ!?なんかかっこ悪いけどかっこいいな。私も欲しい。」


「一応ドロップアイテムなんで売ってないです。」


「う〜ん残念だな。なんかそれで戦ってたら2つ名がつきそうだな。」


「え?二つ名ですか?」


「そうだな〜。暗殺ステーキナイフくんなんてどうだ?いや サイレントステーキカッター、爆裂ステーキナイフボーイなんていいかもな。」


なんて酷いネーミングセンス。

絶対に呼ばれたくない。既にスライムスレイヤーと言う嬉しくない二つ名を持っているのだからもう十分だ。

その後も1日、モンスターを相手に戦って日曜のイベントは終了した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る