第30話 衝撃のG
ついに俺は4階層に到達した。
4階層でも俺以外の戦力は問題ないはずだが、一つだけ気がかりがある。
神と悪魔だから多分、大丈夫だとは思うが。
「あちらに反応があります。 3匹です」
シルフィーの声と共に、4階層のモンスターに初遭遇した。
「キャー!?」「ウワー!!!」
「イヤー、逃げましょう!!」「ぜったいムリムリ!!」
「たすけてー。気持ち悪いです!!」「フゥワー、死ぬ、死んじゃう!?」
遭遇と共に、俺のパーティは混乱に陥った。
パーティというより シルとルシェリアが。
遭遇しモンスターは ゴギブリ型、蜘蛛型、ムカデ型 勢揃いだった。
4階層は虫型モンスターのエリアなのだ。
ただし大きさはそれぞれが大型犬ほどもある。
昆虫は人の何百倍もの力や能力を有するらしい。
それがこの大きさになったのだ。
間違いなく強敵だろう。
「シル、ルシェリア 落ち着け。」
「無理です!」「無理に決まってるだろ!」
「落ち着いたら大丈夫だから」
「大丈夫じゃないです!!」「落ち着けるかバカ !!」
やばい。パニック状態だ。
「とにかく、近づかれたくなかったら『鉄壁の乙女』だ」
『鉄壁の乙女』『鉄壁の乙女』『鉄壁の乙女』
シルが『鉄壁の乙女』を連呼した。本来重ねがけは出来ないはずだが、なぜか出来ている。
「キャー、来ないで、もうダメです!!」「ううームリムリ、地獄に帰る!!」
「逃げましょう」「すぐにいくぞ」
「いやいや。ちょっと待て。倒さないと先に行けないから。」
「無理です!!」「無理に決まってるだろ!!」
「大丈夫だって。俺がやるから。」
「ほんとに本当ですか?」「お前じゃ無理だろ、この嘘つき!?」
「任せとけって」
俺には自信があった。
虫といえば、殺虫剤。
殺虫剤といえばスライム相手に散々磨いた、必殺の殺虫剤ブレスがある。
いくら相手が大きくても、所詮は虫。
装備品としてレベルアップのステータスの恩恵を受けた殺虫剤ブレスの敵ではない。
しかも今回はいつものより、強力な1本1300円の殺虫剤だ。
俺は素早く両手に構えてブレスをお見舞いした。
蜘蛛型とムカデ型は案外あっさり倒すことが出来たが、ブレスをくらうとグネグネ バタバタと暴れ出した。
「キャー、最悪です!」「ぎゃー、死んじゃう。!!」
2人は暴れる姿を見てまたパニックに陥っていた。
そしてゴキブリ型はしぶとかった。
ブレスをくらって苦しみ始めたが苦しみながらもガサガサ逃げ始めたのだ。
逃してなるものかと、『鉄壁の乙女』の効果範囲をでて追い回し、連続ブレスをしてようやく仕留めることが出来た。
3体とも消えた後には魔核が残されていたが、丁度親指の爪程度の大きさだった。
一段落して シルとルシェリアの元に戻ると
「ごしゅじんさまー」「うう、うぇーん」
二人とも本気で泣いて抱きついてきた。
シルはキャラ的にまだわからなくもないが、ルシェリアが泣いている。
あのルシェリアが泣いて抱きついてきている。
まさか
呪われないよな・・・
「もう大丈夫だ。2人とも虫は苦手なのか?半神と悪魔なのに」
「そんなの関係ありません。怖いものは怖いです!」「苦手に決まってるだろバカ!」
その後も、しばらく本気で泣かれた。
事前に知らせた方が良かったのだろうか?
「今後の方針を話すぞ。」
「とにかく4階層は今の要領で行くぞ。シルの『鉄壁の乙女』で足止めして、俺が殺虫剤ブレスで仕留める。」
「倒し損ねたモンスターがいればルシェリアが『破滅の獄炎』で仕留めてくれ。」
「絶対やらないとダメですか?」 「無理、無理」
「俺がなんとか頑張るから頼むよ。」
「うー。かしこまりました。」 「無理、無理」
「ルシェリア頼むよ。出来るだけ、仕留めなくていいように俺が、頑張るから」
「本当だな。見捨てたら呪い殺すぞ!!!」
「わかった。まかせとけ」
パニックの後、ルシェリアの意外な一面と、恐ろしい約束を交わして次のターゲットを探し続けるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます