第8話 ゴブリンスレイヤー(仮)

二度目の2階層に潜ったその日、俺はゴブリンを倒した。

ついにスライムスレイヤーを返上する時が来た。


俺の今のステータス


高木 海斗

LV 5

HP16

MP 5

BP 14

スキル スライムスレイヤー

ゴブリンスレイヤー(仮) NEW


「おおっ」


なんと先程の戦闘でレベルが上がり、ついにLV5 となった。

スライム1000匹倒して1しか上がらなかったレベルが、たった1体のゴブリンを倒しただけで上がってしまった。

ゴブリンがスライムの1000倍強いと言うわけではないと思うが、ここらへんの理屈はよくわからない。

俺はLV5までに2年以上かかったが、個人差が大きくあるようで、探索者になってから1ヶ月程度でLV5になったとか、半年足らずでLV10になったという話も聞こえてくる。

もしかしたら俺は最遅のLV5到達者かもしれない。


ただし、探索者登録をした者の内の半分程度はLV2までで、やめてしまう。

俺と同じように、2階層の壁に阻まれ、スライムをいくら倒しても小遣いにもならない。

なので、かなりの数の探索者が、2階層に潜るのを諦め脱落してしまうのだ。

同時期に探索者になったクラスメイト達も、殆どが脱落して、コンビニ店員等にクラスチェンジしている。

それを考えると2年以上スライムを狩り続け、LV5まで到達した俺は、ある意味すごい。


そしてこの度、新しいスキルが出現していた。


「こ、これは」


「ま、まさか」


スキル ゴブリンスレイヤー(仮)

読んで字のごとくゴブリンに対して補正がかかると思われるが


『(仮)ってなんだよ』


俺は ゴブリンスレイヤー(仮) を意識して 説明を見た。


ゴブリンスレイヤー(仮)・・・ゴブリンに対する死の恐怖を克服し、1人で勝利した者に与えられる。

ゴブリンとの戦闘時全ステータス10パーセントUPの補正がかかる。

(仮)・・・ 偶然による勝利の為(仮)となり本来のスキルよりも格段に効果が

落ちる。


うーん。 うれしいのは確かにうれしい。ただ補正が10パーセント。

俺のLV5になったステータスBP14がBP15になる・・・・

全く強くなった気がしない。

しかも(仮)・・・

おそらく スキル スライムスレイヤーから推察すると、本来のスキル補正は50パーセントなのではないだろうか。 それが(仮)のせいで10パーセントの補正になったと思われる。

説明に 偶然による勝利の為(仮)とある。

確かに偶然勝てたと自分でも思う。

たまたま勝てた。それは間違い無い。

だけど勝ったことには変わりがないはず。

なのに(仮)・・・


「神様はいないのか?」


「慈悲はないのか? 」


いやうちに半神は、いるけどさ。


おそらくスキルを発現している探索者はそんなに多くは無い。

少なくとも知り合いの探索者には一人もいない。

一般的にスキルを持っていること自体がレアケースであり、憧れの対象である。

そんな中で俺はLV5にして既にスキルを2つも持っている。

1つでもレアなのに2つも持っている。

ものすごいことだと思う。

スライムスレイヤーについては、聞いたこともないウルトラレアスキルだ。

取得条件が特殊すぎるため、世界で俺だけのオンリーワンスキルの可能性が高い。


ゴブリンスレイヤーも同じくあまり聞いたことがない。

こちらも取得条件が理由だろう。

普通、死の恐怖を感じたら諦める。もしくは複数人数で挑む。

なので、こちらも取得条件を満たす探索者はレアケースだと思われる。

LV5にして スキル2つ持ち。

言葉の響きだけ聞くと カッコいい。

なんか、これから英雄になる探索者の初期設定っぽい。


だが、しかし スキル スライムスレイヤー

ゴブリンスレイヤー(仮)


全く凄そうではない。

どちらもほぼ役に立たないクズスキル。

いつの日にかスキル昇華なんかして役に立つ日が来ないだろうか。

たぶんこないだろうな・・・・

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