とある少女の記憶の断片
柊みさき
第1章~始まりの春~
第1話:始まりの物語。
2019年春、大阪市。ここは、大阪市内にある架空の高校、
この学校にこの春から通う女子高生・
理由は、彼女には精神的な病があり、通常の授業をクラスメイトと一緒に教室で受けることが出来ないからだ。
そんなことから、彼女は学校を休みがちになり、家で引きこもったり学校へは行かないで街をぶらぶらして過ごすことが多くなった。
これは、そんな彼女の日常を描いた学園物語。
現在、2019年春。亜沙子は、なんとか入学式は済ませたものの、学園生活が日常になってからは、ほとんど学校へは行ってない。
小中とずっと虐められて来た経験があり、学校へ行くのが怖くなって、朝はとりあえず家を出て学校へ向かう電車には乗るが、学校へは行かず、学校のある天王寺エリアのカフェなどで時間をつぶしたりしていることが多い。
彼女は、ある障害を持っていた。
中学の時に、肉体的・精神的に、酷い虐めを受けて来て、その後遺症が残った。
うつやPTSD、パニック障害を持っていた。
そんな彼女にも、一人だけ、入学してから心を許している女友だちが居た。
同じクラスの
彼女も、亜沙子と同じく、中学まで虐めを受けて来てたので、2人は意気が合うみたいだ。
2人は、学校に行かない時は、学校の近くにあるカフェで良くお茶をしている。
ヒナ子と亜沙子の違いは、亜沙子には、
では、物語の始まり~~
平日の朝。ここは、亜沙子の部屋。また朝が来た。彼女にとって嫌な朝だ。
亜沙子はまだ自分のベッドの中でもぞもぞしている。
そこへ、部屋のドアをノックする音が聞こえる。
トントン
「亜沙子~?朝よ、起きてぇ~」
起こしに来たのは亜沙子の母親だった。
亜沙子の家庭は、両親と亜沙子の3人家族で、兄妹などは居ない。
父親も、どこにでも居るサラリーマンで、母親は専業主婦だ。
どこにでもある今風の家庭である。
「はぁい……」
亜沙子は、のそっとベッドから起き出す。
そして、スマホを見る。
LINEが来てる。
幼馴染の藤原隼人からだった。
『亜沙子、おはよう、今日も同じ時間に迎えに行くからな』
と言う、毎朝の内容だった。
パジャマ姿と寝ぼけ眼で階下の食堂へ行くと、そこには制服姿の隼人が居た。
「おはよう、亜沙子」
「あ、隼人……おはよう……」
「おはよう、はよ準備しいや、ガッコ行くで」
「う、うん」
亜沙子は、母親の作った朝食を食べ、一旦部屋に戻り、制服に着替え、再び降りて来た。
「亜沙子……」
「なに?お母さん」
「今日はちゃんと学校行くの?」
「わからん」
「わからん、て、せっかく隼人君毎日来てくれてるのに」
「いいんよ、別に。隼人も、先行って」
「は?アカン、今日はお前をちゃんとガッコ連れてく」
「なんで!もう、2人とも、私のことなんかほっといてよ!」
と、亜沙子は、バっと食堂を飛び出し、革靴を履いて、家を出て走った。
「隼人くん、追いかけてくれるっ?!」
「あ、はいっ!」
亜沙子の母親に言われ、隼人も急いで靴を履き、家を出て亜沙子を追った。
が、亜沙子の姿はどこにも見当たらない。
亜沙子だけしか来ない隠れる場所があったのだ。
「くそー、亜沙子、逃げたな」
隼人が諦めたことを見終えて、彼の後姿が見えなくなるのを確認してから亜沙子は道路に出て、駅へ向かった。
亜沙子と隼人の家は、
上町線に乗ると、同じ学校へ通う学生たちと被ってしまう為、亜沙子は、南海電車に乗る。
そして、大阪南の中心地、
難波へ向かう電車の中、亜沙子のLINEの着信が鳴る。
隼人からだ。
『亜沙子ー、許さんからなー!!』
亜沙子は、そのLINEに返信はしない。既読スルーだ。
もう一つ、着信があった。
友人の日向ヒナ子からだった。
『やほ、亜沙子、おはよう。今日はどうするのー?』
と言う内容だった。
亜沙子はそれには返信した。
『おはよう、今日はミナミへ向かってるよ。難波でも行く予定』
少しして返信が来る。
『ほな、ラウンドワンでも行かへん?カラオケしようや』
『えぇな、行こ行こ』
『そしたら、難波駅の2階のマクドで待ってるで』
と、ヒナ子から返事があったので、
『了解』
と、亜沙子は可愛いスタンプで返信した。
ヒナ子とのLINEを終え、亜沙子は、「ふぅ……」とため息を付き、ドアにもたれた。
電車は大きなカーブを描き、車体を揺らしながら終点・なんば駅に着こうとしていた。
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