凍傷の夏

いつだって不確かな肯定は夜を見つけては消えてった

「気怠いくらいの温度が良い」そう言っては静かに閉めた夏


塩素の匂い 塗りたくった夢が僕らを吸い込んでから

世界の非情を知ったんだ 辛いな 季節がまた増えたんだ

色付け合いの戦争に茹った君の抜け殻が

まるで海を呪ってるみたいに 水槽の中で息を破った


解けて解けて解けてくのは 甘い甘い体温の暮れ

冷える冷える初夏の夕日に 悴むのは脳裏の雑踏

青く青く染まった後の ずれて消えた世界の線が

未だ君へ堕ちてくようで 気怠い気怠い温度が泣いた


季節は増えてって いつが夏か解らないや

凍えた炎天下 抜け殻はまだ真善美

煌々々 もう太陽が今現在を鈍感にさせて体温を掻き混ぜる


「ねえ聴いて。私、季節になったんだ」


世界はいつでも薄情だ 夏を殺しにやってくる

「気怠いくらいの温度が良い」後部座席の君が言って

青白い手が雪みたい 弛んだ瞼が雨みたい

君の嘘が夏みたいに 水槽の中で息を破った


全て全て肯定するよ 全て全て夜に委ねて

暮れを呉れてしまわぬように 蜩を啼かせてまわった

もうさ、いいよ 終わりにしよう

世界が僕らに馴染めず泣いてる

だから だから だからさ もういいかい?


解けて解けて解けてくのは 甘い甘い体温の暮れ

冷える冷える初夏の夕日に 悴むのは脳裏の雑踏

青く青く染まった後の ずれて消えた世界の線に

未だ僕ら堕ちてくようで 気怠い気怠い温度が啼いて


ああ

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