albino


『あたし』の在るべきを必死に露わそうとする

兄さんはこう言った 「父さんは悪いやつなんだ」

真っ赤な眼の中 映るのは御祭りで

あたしの身体の値段と積みあがってく金貨が

あたしの絶望


「いくらなんですか?」

男の声が強く耳を刺して

響いて

メスを片手 顔を見ると 彼はただ笑っていたんだ

腹を裂いて 喉を開けて 悲鳴の中

手を出して


「逃げてしまおうか、僕と君で

 闇の中へ 血海の中へ 絶望の中へ

 大丈夫、だって

 君のその身体は白く輝いて照らしてくれる

 逃げてしまおうよ

 どうせ生きる意味もまだ無いんでしょ」

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