24:00

パチ…


放送の電源を全て切る。

クリスマスが終わった。


どこかの誰かさんが聞いていてくれることを願う。


まあ、二人は確定してるんだけどね。

あの二人はやっと結婚にたどり着いたみたい。

よかった…あの二人はおじいちゃんおばあちゃんになっても手を繋いでキスをしてそうな仲のいいカップルだったからもっと早く結婚するんだと思ってたけど、プロポーズで詰まるとは思わなかったよ。


私ができる最低限の恩返し。

親友に出来たかな。


私は秘密基地の

趣味で作ったラジオ放送局から出て

外に出た。


いつもは真っ白な天井を見るだけの日々だったけど

今日のこの瞬間だけは違う。


やっと自分がやりたいことができた。


他の人にとって丸二日間起きることなんてやろうと思わないだろう。

でも寝てしまったら死ぬ…言われたら?


多分みんなは頑張って起きるんじゃないかな。


私もその中の一人。

だから眠らないように二日間頑張ったんだ。

一番は親友のためだけどね。


親や恋人、友人にも心配されているのもわかっているし、

自分の体だから一番わかってるつもりなんだけど

やっぱり悔いない人生を送りたいって思ってさ。


親友が僕のやりたいことのために働きかけてくれて

今こうして秘密基地の庭で星空を見上げられている。


きっと親も恋人も友人許してくれなかった。

あの一人の親友だからこそ僕の気持ちを汲んでくれたんだろう。

本当に感謝しても仕切れない。


あともう少ししたら、彼が来る。

彼女と幸せ気分をもっと味わって欲しかったけど

頼るのが君しか居なくてさ…

ごめんな。


私は、庭に寝袋とラジカセを置く。


寝袋に入り、自分の好きな曲を大音量でかけようと

ラジカセのでんげんをつける。


「じゃあ、最後の曲、First Sight。みんなが幸せになれますように。」


私が今一番大好きな曲を大音量で聞く。


この体では、ライブのDVDを見ることしか出来ないし、

イヤフォンで大きめの音でこそこそ見ないといけないのが大嫌いだった。


だからこうやって自由に聞ける外の世界が好きだ。


音楽を聴きながら、降ってきそうな満天の星空を眺め、目に焼き付ける。

やっぱり、二日も起きてるのはきついなぁ。

眠くなってきちゃったよ。


まぶたを閉じて管のない体に自由を感じる。


もし、私に奇跡が起こるなら

また目覚めさせてください。


欲を言うなら、感謝を伝えさせて欲しいです。


私のことを大切に思ってくれる親、恋人、友人、そして親友。


この行動は自分勝手だったけど、悔いのない人生にできたことを伝えたいです。


私はみんなに出会えて本当に幸せな人間だったよ。


ありがとう。


またね。

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