10:00

今日はやっぱりどこも混んでるなー。


あ、あそこで座って待ってよっと。


改札を出てすぐのベンチで彼が来るのを待つことにした。

今日は、映画見て、お昼食べて、彼の家に行って

クリスマスを祝う。


なんか詰め込みすぎな感じもするけど、

それは彼希望、まあ一緒にいられるならなんでもいいっか。


ベンチの裏から、ラジオが聞こえる。

どこも平和だなぁ。


[May happiness come to everyone who listens.

皆さんこんにちは。クリスマスが終わるまでひとつまみの奇跡をお届けします。]


クリスマス特集かな。

どこもそうだよねー。


メッセージを見ると、電車が遅延してるから少し遅れるって来ていた。


『OK!気をつけて来てねー。』


ちょっと暇になってしまった。

なんとなく空を見上げる。


都会はどこも建物が高くて、空が狭いな。


こうやってベンチで座って、

初デートの時も彼は遅れて来たっけ。

確か、学校の用事が長引いて1時間待たされた。

けど私はのんびり空を見て流れるかわからない流れ星を探していて1時間待ったことに気づいてなかった。


彼に


「1時間も待たせてごめんね!」


と言われた時はそんなに時間が経っていたことに驚いた。


その時は、なにお願いしようと思ったんだっけな。


[では、次の曲、Fun Fun Christmas。あなたに幸多からんことを。]


今日は、お昼からデートだから流れ星を探そうにも見えなさそう。


彼は毎年クリスマスの時期になると

真っ赤なコートを着始める。

子供の時からのルーティンらしい。


きっと今日も赤いコートで来るから

一発で分かりそう。

サンタさんリスペクトしてるらしいけど…

ちょっと今の時期は目立つから恥ずかしいんだよね。


狭い空を見上げていると、

一つの飛行機が飛んでる。

機内から私のことみえるかなー?


あ。


飛行機雲。


なぜかいつもと違ってすごく明るく光っているように見える。

なんか流れ星見たい。


願っとこ。


目をつぶってお願いする。


彼が私だけのサンタクロースであり続けますように。


「ごめん!おまたせ!」


息を切らしている大好きな人の声が耳に入る。

目を開けると、いつもどおりの赤いコート。


「大丈夫。そんな待ってないよー。」


「いや!だいぶ待たせてるよ!なんでいつも暖かいとこいないんだよー。」


「んー?空見て暇つぶししてるからさ。」


「風邪ひかないでよ?」


「また、待たせる気なの?」


「違う!違う!」


冗談を本当に受け入れてしまう純粋なところいつまで経っても変わらないでほしいな。


冗談を言いながら、彼と映画館に向かった。

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