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「うええぇえん…」
はあ…、またなの。
夜泣きをしている生後5ヶ月の我が子。
可愛いはずなのに、愛しているはずなのに、
この鳴き声を聞こえると気分がどんよりする。
母親としてダメよね、こんな考え。
「はいはい、ママはここにいるよ。」
ママとして我が子を抱きかかえる。
オムツでもないし、お腹が空いているわけではない。
ただ眠るのが怖いだけなのよね。
でもママも眠らないとあなたのお世話ができないのよ。
私はこの眺めのいいタワーマンションで夫と私とこの子で暮らしている。
結婚する前から仕事が忙しいのは分かっていたけど、でも…これじゃあ私ひとりじゃないの?
まだ泣き止まない我が子。
鼓膜が破れそうなほど今日は泣くいてしまう。
「そうだね…。パパに会いたいね。」
彼は付き合った当初は貯金もできない人で月末はいつもカツカツでお家デートをよくしていた。
でも、その時間も私は幸せだったの。
あなたと一緒に居られる時間とあなたがくれる愛とご飯が食べれるお金があれば私は良かったの。
でも、あなたはとても頑張ってこんな素敵な家に私を住まわせてくれている。
あなたの目標を叶えるために私も頑張ったわ。
前より会えなくなってもあなたからの愛情は変わらなかったから。
だからあなたが目標を遂げた時、とても嬉しかったわ。
これであなたとの時間が増えるって。
でも、あなたは違ったのね。
子供の泣き声だけ延々と聞いていると本当に頭が狂ってしまいそうなので私はラジオをつけた。
前はTVをつけていたんだけど急に明るくなった瞬間、起きてしまうことがあったからその日以来、ラジオを聞くことにしている。
部屋はなるべく薄暗く、ラジオの周波数を合わせながら我が子をあやす。
日々成長しても終わりが見えない日課をしていく。
[May happiness come to everyone who listens.
皆さんこんばんわ。明日のクリスマスが終わるまでひとつまみの奇跡をお届けします。]
と、落ち着いた声でラジオが始まる。
こういうたまたま見つけるのが嬉しいのよね。
最近はこれが趣味になってる。
あれ…?少し泣き声が落ち着いて来た。
よかった。
しかしまだ完全には泣き止まないので抱っこし続ける。
[では、次の曲、In the Bleak mid - winter。あなたに幸多からんことを。]
わぁ、クリスマスっぽい。
子供たちが歌ってるのかしら…?
透き通った素敵な声。
曲を聞いているうちにだんだんと我が子は泣き止んで眠ってくれた。
…よかった、やっと眠ってくれた。
これで彼が帰って来てくれたら最高なんだけどね。
子どもを静かにベットに寝かせ、私も寝るためにベットに向かう。
さっきの曲、ダウンロードしておこう。
また聴かせて眠ってくれたらいいな。
「はあぁ…。」
一安心すると緊張が取れて思わずあくびが出る。
私も寝よう。
ラジオを消し、少し冷えたベッドに入る。
[カチャン…]
静かになった部屋に鍵が開く音が響いた。
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