体育祭3
ふぅー、食った食った。午後の部に向けてエネルギーはつけられた。あとは全力を出し切るだけだ。
お昼も終わりに近づき、ご飯を食べていた生徒達が戻ってきた。お昼終わりだからみんなの熱量も少しぐらい減るかと思ったのだが全然そんなことはなかった。むしろ、昼飯を挟んでもっと元気になっている。
「それでは、これより午後の部を始めたいと思います」
先生のアナウンスとともに体育祭、午後の部が始まった。
**
「うぉーーーーー!」
今、ウチのクラスはすごい盛り上がりである。なんと、委員長君が長距離走で三位に入ったのだ。
すごいぞ…。委員長君…。素直に尊敬しかない。一位、二位は三年生なのにその後に食い込んでくるなんて…。
ただ喜ぶ時間があまりない。なぜなら、もうすぐ俺達の番だから。
「お〜い、翔?そろそろ僕達の競技が始まるから選手の待機場所にいこ?」
「分かった」
**
待機場所につくともうほとんどの走者が集まっていた。ちなみに、岡崎と剣崎も先に待っていたらしい。
実はこの競技は体育祭の中で一番鬼畜であると俺は思っている。なぜなら、この競技は午後に予選をしてそのまますぐに決勝があるからだ。
他の競技は大体、午前中に予選をして午後から決勝なのに100×4メートルだけなぜかこんな形をとっているのだ。
なんか、ひどくね?俺達も午前中に予選しちゃダメだったの?
そんなことを思いつつも、レース前のため気を引き締める。
「まずは、予選通過だな…」
「そうですなぁ…」
「一年生の伝説をつくってやるぜ!あと、これで女の子にモテるぜ!」
「頑張ろうね!みんな」
他の三人もやる気は充分らしい。岡崎は少し変な願望も入っていたが…。
「では、選手の皆さんは入場してください」
さぁ、まずは予選だ。
**
気づいたらすぐに俺達の組の番になった。第一走である岡崎がバトンを持って走る用意をしている。
「位置について…………………よーい…」
パンッ
ピストルの音が鳴り響き、レースが始まった。
岡崎はスタートダッシュを完璧に決めて勢いに乗る。二位まで浮上し、次の剣崎にバトンを渡す。
二位でバトンを受け取った剣崎だが、一人に抜かされて三位に落ちてしまう。だが、クラスの応援もあるのか、力を振り絞り二位に喰らい付く。
応援も熱を増していく中では一人抜かすだけで観客が沸く。予選なのにこの盛り上がりなのか…。
「キャー!海斗君〜!」
「走ってる姿もカッコいいーー!」
そんな声援を受けながら走る海斗はサッカーで鍛えた足で二位まで上がったのだが一位には追い付かずそのまま俺のところまで走り込んでくる。
「翔!」
そして俺の手にバトンが渡った。
予選だろうがなんだろうが一位になりたいので俺は前を走っている人を追いかける。最初は嫌だと言っていたが、今では一位になりたいと思えるようになってしまった。
一位からは結構離れているが、まだ追いつける距離だ。
あともう少し…………
行けるか…。
…………
…………
…………
結局、俺は一位には追いつけなかった。なんか決勝には進出したが悔しいな…。
「やっぱり翔はすごいよ!」
「イェーイ!決勝進出だぜ!ナイス、翔!」
「流石ですな!翔君!」
なんかめっちゃ褒めてくるんだが…。
「お前らの方が頑張ってただろ?俺は一位に追いつけなかったしな」
「何言ってんだよ翔!お前めっちゃ速かったんだからな!一位と結構差があいてたのにも
うすぐで抜かすとこまで迫ってたんだからな」
「そうか…」
いい友達を持ったな俺も…。
「よし、これで女子にモテるぜ!」
やっぱ、前言撤回で。
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