終章



ー白いゴールデンレトリバーの仔犬とともに、そして愛犬シーズーのシーとともにー



春を迎え、ようやく静かな湖のような落ち着いた気持ちがもてるようになりました。

そして、あの子がその短い人生で戦い続け、最後にみせてくれた笑顔を胸に、これからの人生を生きていける気がいたします。

あの子の短い人生を支えてくださったセラピー犬には本当に感謝しております。

お礼の言葉も言い尽くせないほど…


そして、私もあの子の心のよりどころであったセラピー犬と同じ白いゴールデンレトリバーの仔犬と、暮らすことにいたしました。

この仔犬が、あの子の生まれかわりだと思い、ともに懸命に生きていくつもりです。


本当にありがとうございました。

………



今夜も、スタンドライトの卵型のLID電球は、まるでこの8畳の和室の小さな太陽のように、隅々にまで淡くあたたかなひかりを届けています。

ほんものの太陽が、地球のすべての生命の源のなら、この部屋の小さな太陽は、ぼくと愛犬シーズーのシーのかすかないのちのともしびでしょう。


ぼくとシーにとっての小宇宙=8畳の和室


ぼくはこれからもシーとともに生きて行きます。


シー

いつもありがとう



はるか彼方から星たちが何億光年もかけて光を届けている紺碧色こんぺきいろの夜に、シーは赤いリードを引っ張るように走り出します。

ぼくも赤いリードをけっして離さないようにしっかり握って伴走します。

短い両脚を伸ばしやや寸胴の身体を精一杯躍動させ、シーはくもりのないまことの世界へ向かって走り続けます…





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シーと新生の方途 ユッキー @3211

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