第4章

第1話 黒煙と白煙

『国営ラジオが正午をお伝えします』



探偵は椅子に座り、ラジオに耳を傾けながら新聞を読んでいた。



『続いてのニュースです。三十年の沈黙を破って怪盗 黒雨こくうが国立美術館に予告状が届けられました』



探偵が読んでいる新聞にも怪盗に関する記事が載せられている。

「怪盗ねぇ…」

新聞を読み進めた。

交通事故…政治家の汚職…鉱山事業の買収…内戦規模縮小化…テレビ到来…鉄道路線拡大…本日のお買い得品…


 

『ターゲットにされたの「炎海かいえんの街並み」と呼ばれる作者不明の絵画で価値は数億になるとも言われて…』



探偵は突如立ち上がりハンガーに掛かったよれよれのコートを手に取り出かける支度を始めた。


「只今帰りました」

助手が両手いっぱいの食材の入った紙袋を抱えて戻ってきた。

「やっぱり自転車があると便利ですね。買い物が楽できますよ」


「おい出かけるぞ、そいつを置いて荷物をまとめろ」

探偵は足早にに外に向かった。


「え、先生どこに?」


「決まっている」

探偵は振り返った。

を捕まえるぞ」

探偵は飛び出して行った。


「先生ラジオを止めてから出掛けて下さい」

助手はラジオを止めて、すぐさに探偵の後を追った。

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