[11mmdd]シュルムの日記。

神は例外なく恐ろしいものだ。

幼児のように振る舞う北鳥瞑と名乗る神もまた、オレにとっては恐怖の対象だ。

彼女と接する人々は可愛らしい見た目や態度に騙されて心を許してしまう。だがその純粋無垢さこそが恐ろしさの最たるもの。

花を摘むように命を摘み取り、子供が好奇心で蟻の頭部と胴体を引きちぎるように虐殺を行い、人間の倫理観など理解しようとしない。

零という人格に変わっているとき、周りの人々は乱暴な彼女を避けるが、オレはむしろ安心する。

彼女の苛立ちや冗談、妬みや捻くれた態度は人間と変わらない。恐らく零は人間か、限りなく人間に近い存在なのだろう。

水樹さん曰く、零は瞑の感情が高ぶったときに出てくる。つまりはブレーキ。純粋無垢なあの神様が暴走しすぎないように行動を制御している。

零がいるから、オレは恐怖心と戦いながらもなんとか北鳥瞑と接することができる。

明日の検査、頑張ろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る