[13mmdd]兎原晒の日記。

歩実が俺の治療の後遺症で倒れた。

水樹先生の手術のお陰でどうにか助かったが、どうしようもないくらい俺は自分自身に怒っている。

怒りという表現は適切でないかもしれない。

一度は救った命を失うかと思ったときは恐ろしくて血の気が引いて、頭も真っ白になったし、その原因が俺の未熟な治癒魔術のせいだったと知ったとき、自分自身への激しい憤りと申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

歩実は、あのとき俺が居なかった死んでたんだから謝ることはひとつもないと言った。

でも医者は失敗してはいけない。魔術と(歩実の種族である)鬼についての知識が深い水樹先生の手術を受けなかったら、歩実はそのまま亡くなっていたかもしれない。

こんな俺が、このまま医者を志していいのだろうか。

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