第6話月狼の洞窟

準備を終えた3人はそれぞれフレンド登録をし、ダンジョンに向かうために道を進みながら話していた。


「あの…エイルさん、本当にいいんですか?こんないい武器タダでもらって…」


「そうですよ。武器だけじゃなくて防具までもらって…」

そう言っているルーンとシルクは準備をしているときにエイルからもらった初心者武器よりも強力な杖と短剣を持っていてさらにルーンはコート、シルクはローブを装備していた。


「いいよ別に店にだそうか迷っていたようなものが役に立つならそっちの方がいいし、僕もはやくダンジョン攻略してもらいたいし」


「いやいや、何かお礼をしないと…」

シルクはこういうゲームを何度か経験しているためアイテムの譲渡はある程度はタダで貰うことはあっても装備なんかを貰うのはギブアンドテイクだと思っているため何かお礼をしたいらしい。


「そうだな別に今欲しいものも無いし…」

そう言ってエイルは顎に手をあてて考えながら歩いていると、ふとあることをおもいついた。


「じゃあ、うちの店の常連になってよ。武器や防具を買うこと以外にもメンテナンスとか素材の買い取りとかするつもりだし」


「そういうことなら全然問題ありませんし、もとからこれからもお世話になるつもりでしたから」

そんなことをいっているうちにダンジョンの入り口が見えてきた。


「よし、ここからダンジョンだから2人とも気を引き締めてね。特にルーンちゃんはHPとVIT的に多分雑魚敵にも一撃でやられかねないから」

ルーンはレベルアップで手にいれたステータスポイントを全てHPに振ったがそれでも耐久力には不安が残るものとなっていた。


「はい、分かっています。だからあの作戦なんですよね」


「分かってるならここで話すことは何も無いし早速行こうか」


「「はい」」

そう言って3人は、エイルを先頭にシルク、ルーンの順で【月狼の洞窟】と呼ばれるダンジョンに入っていった。






ダンジョンの中はRPGでよくある感じの洞窟で少しヒンヤリとしていた。


「うおっ早速きたな【パワースナイプ】」

そう言ってエイルはスキルを使い矢を放ちそれはみごと狼を貫き狼は光になって消えた。


「わぁスゴい一撃で強そうな狼を倒した」


「私たちにも経験値はしっかりはいっているし、作戦は多分上手くいきますね」

ルーンの言う作戦とはシンプルなもので一番火力の高いエイルを先頭にして道中のモンスターを倒してもらってパーティーメンバーである2人は経験値をもらってボスの前までにできるだけレベルアップしようというものである。


「おっ今度は3匹かじゃあ【トリプルアロー】」

スキルを使ったエイルの矢は3本になりそれぞれ狼に一発ずつ命中して狼は光となって消えた。


「スゴいですエイルさん3匹同時なんて」


「ありがとうっと今度はあいつか」

エイルの視線の先には今までの灰色の毛の狼とは違い黒い毛の狼がいるが、幸いまだこちらにはきずいていない。


「良いこと教えてあげるよ」

そう言ってエイルはスキルを使わずその狼に向かって矢を1本放った。しかし、矢は狼をすり抜け狼の真下の地面に突きささった。


「よし、じゃあ今度はシルクちゃんが攻撃してみてくれないかな」


「は、はい。【ファイヤーボール】」

シルクの放った【ファイヤーボール】は狼に見事に命中し、狼は光となって消えていた。


「えっなんで?」

ルーンは疑問に思ったが、シルクにはすぐにこの意味が分かったらしい。


「あの狼って物理攻撃は効かない代わりに魔法攻撃が弱点っていうタイプの敵ですよね」


「まぁ正解かな。さっきのはシャドウウルフっていって物理攻撃が効かないモンスターなんだよ。けど耐久力はそんなに無いから魔法か物理以外のスキルで攻撃すればいいから」

そう言ってエイルは2人にこのダンジョンの仕組みや出てくるモンスターの情報なんかを教えつつダンジョンを進んでいった。






3人は、エイルのおかげで危なげ無く道中の敵を倒していきボスの部屋の大きな扉の前までやってきた。


「エイルさんありがとうございます。私たちのレベルも6まで上がりましたし、お世話になってばっかりで」


「いいよ気にしないで、それよりもここからが本番だからね」


「ボスはどんな感じ何ですか」


「簡単に言えば道中の敵の強化版みたいな感じだよ。だけど異様に素早いからまずは僕が攻撃して足止めするよ」

そう言ってエイルは2人に作戦の説明をし始めた。


「次にとりまきにシャドウウルフが2匹でるからそれはシルクちゃんにやってもらっていいかな?」


「はい。もちろんです」


「それでルーンちゃんは僕がボスの動きを止めるからそしたら、ふところにはいって攻撃たくさんいれてきて、あとヤバそうだと思ったら一旦ひいてくれて構わないから」


「はい。がんばります」

そして3人は少し休憩して、ボスに挑むことにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る