1年生

1年生4月:それぞれの再スタート

それぞれの再スタート①








20XX年、4月。






星の里高校の男子ソフトテニス部のほとんどが、中学以前に活躍した選手ばかり。そのため、推薦入学の生徒がほぼ半数を締めている。



彼らもそのうちの数人だ。







「つーか、晴高と同じクラスかよ」

「こっちのセリフ」


入学式当日、学校へ着き、まずは玄関口に貼ってある1年7組のクラス表を見る。


彼らの名前は、村木海吏と、市村晴高。2人は、少年団は違ったが、小学生からペアを組むことが多く、中学3年間は驚異的な結果を残した二人。彼らは、腐れ縁ってやつだ。



「あ、俺は離れたー。でも陽とか慎吾とかいるや」

と、もう1人、畑谷和己のこともお忘れなく。彼は8組でした。


「俺、和己と小学校から同じだけど、1度も同じクラスになったことないよね」


晴高と和己は、小学校からの仲。何なら、ソフトテニスを始める前からだ。海吏は小学校は違うが、中学で晴高たちと部活をするために、家ごと引っ越して一緒の中学に通っていた。




そう、畑谷和己、村木海吏、市村晴高。

江南市立北中出身、男子ソフトテニス部。


彼らの名前を知らない、県内の同世代プレイヤーは、早々いないだろう。という強者の面々だ。



江南北中のソフトテニス部は以前から伝統のあるチームだ。江南市は県内の中でも特にソフトテニスの少年団が盛んな地域で、彼らの上の世代には、高校生になるとインターハイや国体などで全国的に有名になるほど活躍した先輩だっている。


そんな環境下の中、ソフトテニスを続けてきた彼ら。小学生時代から名前は有名で全国大会常連選手。勿論県大会優勝だって何度も飾ったことがある。


そして何よりも、全中の男子団体でベスト4。これは、近年の、県内のどこの中学にもないような活躍だった。





そんな彼らの進学した高校は、地元江南市にある、私立の星の里高校。

農業や食品について学ぶ農業科や、進学を目指す普通科、その普通科の中でもずば抜けた成績のクラスの選抜クラス(通称:特進クラス)、そして未来のアスリートが集う体育科に分かれていて、彼らのクラス、7組と8組は体育科に該当する。


そして男子ソフトテニス部は近年、ぐんと成長しているチームの一つで、ここ数年では県内のトップチームになりつつある。


というだけあり、実力者の入学は彼らだけではない。





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