異世界ハルフェン 第四節

「うん?ねぇマティ…なんだか盗賊達、もう片付けられてるっぽいね?」

「そのようですね」

村に到着した騎士団を先導しているのは、一人の騎士風貌のどこか抜けた感じの顔をしている若者と、やや後ろでついている耳の尖った青年だった。


「みんな大丈夫ー!?ってなにこれ?」

一人の村娘が先行してカイ達に走り寄ると、地面に倒れている盗賊達を見ては驚愕する。

「メリー!無事騎士団を呼んできてくれたんだなっ」

エリネの手当てで回復したコリーが他の村人たちがメリーに声をかける。


「うん、運よくレクス様が館にいたから、急いで連れてきたけど…」

周りで伸びている盗賊達を見るメリー。

「どうなってんのこれ?」

「ああ、こいつが一人で全部片づけたんだ。めっちゃ凄かったんだぞっ」


カイやエリネと一緒に立ってるウィルフレッドをコリーが指す。騎士団が盗賊達を拘束し始めると、先ほど先頭にいた若い騎士が彼らの方へと歩み寄った。


「「レクス様!」」

村人とカイ、エリネ達が嬉しそうにレクスと呼ばれる若者の元へと集まる。

「やあ、カイくん、エリーちゃん、元気にしてたかい?他の皆も息災で何よりだよ」

「ああ、レクス様もめっちゃ久しぶりだよなっ」

「うんっ、またレクス様に会えて嬉しいですっ」


「ご息災でなによりですレクス様っ」

「マティ様も相変わらずで…っ」

「レクス様っ」

カイやエリネだけでなく、村人達もまるで旧知のようにレクスに挨拶していき、その様をウィルフレッドは観察する。自分よりやや若く見え、茶色の髪に整った顔にしてはどこかのほほんとした雰囲気をする、あまり特徴のない青年。身に着けている鎧の典雅な模様から、地位のある人だと感じた。


「君はウィルフレッド殿だね?カイくんとエリーちゃんから話は聞いたよ」

暫くカイ達と会話したレクスは、エリネとカイとともにウィルフレッドのところに来て彼に挨拶する。

「村を襲いに来た盗賊を一人で追い返したんだってね。盗賊の襲撃と聞いて急いで駆け付けてきたけど、どうやら被害も最小限に抑えられてるようで助かったよ」


「いえ、カイ達には助けられた恩もありますから」

それを聞いてレクスは暢気な笑顔になる。

「なるほど、カイくんやエリーちゃんの言う通りの人だね。…と、自己紹介が遅れたね。僕はレクス・アートゥルス、一応この領地レタの領主だよ」


「ウィルで構いません」

「じゃあお言葉に甘えて、改めて感謝を述べるよ。ありがとうウィル」

ウィルフレッドは彼の握手に応えると、少々驚いた表情を見せた。

「どうかした?」

「いや、領主と言うわりには…なんだか気さくな人だと思いまして…」

「あはははっ、マティにも似たことよく言われるんだよね。領主らしくない振舞とかさ」

愉快そうにレクスが笑う。


「別そういう意味では…すみません」

申し訳なさそうになるウィルフレッドを見て、レクスはやはり軽い感じで手を振る。

「気にしない気にしない~、自分もまだ領主になったばかりの身だから、実はまだそこまで実感湧かないんだよね」


ウィルフレッドは少々面食らう。領主というからには一応支配階級にあり、今の地球でそれ相当の人達は大抵高い姿勢を取りたがるはずなのに、目の前の彼の言動は、どうもそういう人たちと結びつけられない。


「無理ないよ。レクス様って領主様というより、面白い隣人みたいな性格してるからさ」

「でもそういうレクス様は自分は好きですよ。それに意外と頼りになるところもあるし」

「意外、は余計だよエリーちゃん」

三人が仲良さそうに笑い、ウィルフレッドもついつられて顔が綻ぶ。


「そういえばウィルは確か記憶喪失になってるだっけ?丁度良いから村を助けたお礼にうちの館まで招待して色々と情報を提供してあげるよ。それで何か思い出すかもしれないしさ」

「良いのですか?」

「別に良いって。カイくんとエリーちゃんも一緒に来るかい?久しぶりにうちのお茶、招待するからさ」


「ほんとか?やった!」

「行きたいです!レクス様のところ行くのも久しぶりっ!」

はしゃぐカイとエリネを見て、さっきの村人達とのやりとりといい、領民達から慕われているのは確かのようだとウィルフレッドは思った。


盗賊達の拘束が一通り終わったようで、一人の騎士がレクスに報告する。

「レクス様、全員拘束致しました。何名かの兵士に村の修復作業の手伝いをするよう指示も出しました」

「うん、ご苦労様、いつもの見事な手際、感謝するよマティ」


ウィルフレッドはこの若い騎士を見て怪訝に思う。レクスよりも長身で、几帳面で秀麗な顔立ちに、明るい緑色の髪をした彼の耳が、尖っているからだ。興味深そうに見るウィルフレッドに気付くレクス。

「おや、どうしたのウィル?エルフが珍しいのかい?」

「エルフ…?」


ウィルフレッドは無意識に自分の首飾りに触れる。かつて見た童話の中で、そういうのものが描かれているのを思い出すが、目の前のマティはどうやらそれとは違うもののようだ。

「まあ仕方ないか。エルフはドワーフや他の種族のようにあまり人間ヒューマの社会での活動はしないからね」

(ヒューマ…この世界の人間を指す言葉か)


「そうですね。私は少々訳あってレクス様に仕えてはいますが、エルフやドワーフは自然の中で生活することを信条としている種族ですから」

そう語るマティの声も、どこか人間よりも綺麗だと感じた。

「マティは父の代からずっと家に尽力してくれてね。手際も良くてほんと感謝しきれないくらい助かってるよ」


「そう思っているのならもう少し真面目に領主らしく振舞ってください。仮にもルーネウス王国の男爵ですから、少しは貴族らしい振る舞いを…」

マティの苦言にレクスはわざとらしい退屈そうな顔を見せる。

「別にいーもん。男爵と言ってもただの世襲だし、レタ領地自体は王国内でも田舎扱いだし、そこまで王族達と接する機会も多くないんだから、僕はこんぐらい気軽な方がいーの」

もはやいつものやり取りのようで、頭痛そうに手を当てるマティに、カイとエリネはくすくすと忍び笑いする。


「とにかく、現場の方についてもう一つ報告したいことがあります」

軽く咳してマティがレクスに耳打ちすると、レクスは嬉しそうに頷いた。

「さっすがマティ、となれば早速行動しようか。頼んだよ」

マティが一礼して去る。


「なんかあったのかレクス様?」

「なんでもないよカイくん。それよりもそろそろ行こっか」


カイとエリネ達が頷くと、ウィルフレッド一行はレクスの館にいくことをシスターイリスに伝えるようコリーにお願いし、ウィルフレッドはレクスの馬に乗り、カイとエリネは村の馬を使ってレクスの館の方へと移動し始めた。



******



森の中の小道を進行しながら、ウィルフレッドはレクスやカイ達と、彼らの間柄について話していた。昔から村の教会主導の祭事は領主と話し合う必要があり、そのための連絡や用意などの手伝いはいつもカイとエリネがしていた。他にも何か館に行く用事があれば、またに二人が手伝うこともあるため、二人はよく領主の、すなわち今のレクスの館に行くことが多く、それでレクスと他の村人よりも親しくなったという。


「そうか、だからカイとエリーはレクス…様と親しいのですね」

「そうそう、ああ、僕とはそんなに堅い言葉遣いしなくてもいいよ。君は別にうちの領民でもないし、見たところ年もそう違わないでしょ?呼び捨てでも構わないからさ」


「いいのですか?」

「いいって、さっき言ったように僕は堅苦しいの苦手だし、歳は結構近そうだから、普通に対応してくれた方が嬉しいな。その代わり、僕も君のことをウィルくんと呼ばせてもらうからさ」

にへらと笑うレクスに、やはり変わった人だとウィルフレッドと思っては笑う。


「ならお言葉に甘えて…さっき襲ってきた盗賊達だが…何か心当たりあるか?」

「そうだね。さっき村人達の話を聞く限り、たぶん隣のメリデ領で暴れまわっていたビルド一味だと思う。メリデ領の騎士団は先週、皇国軍勢力をようやっと自分の領地から追い出したばかりだから、その隙を見て盗賊退治に力を入れてるんだ。それから逃れるためにここに流れ込んだんだろうね」

「つまりとばっちりかよ。ついてないなまったく…」

カイが軽く愚痴る。


「なに、彼らについては大丈夫。もう手は打ってあるから、あとは知らせを待てばいいからね」

「えっ、いつの間にそのようなことを…」

「それは時が来てからのお楽しみってことで」

指を口に当ててカイにウィンクするレクス。なかなか掴みどころのない奇妙な人だとウィルフレッドは思った。


「そんなことよりも、まずはうちのところでゆっくり英気を養ってくれ。ほら、着いたよ」

ウィルフレッドが顔をあげて見ると、前にある小さな丘の上に、レクスの騎士団の旗と同じ紋章がついた館が見えきた。



******



「どうぞ好きに座って、ルネ、皆にいつものお茶お願い」

「かしこまりました」

館の小ぢんまりとした接待室で、レクスとウィルフレッド、カイにエリネが大きな丸机を囲んで座る。室内を見まわすと、豪華さこそないものの、領主の館の接待室だけあって、中々よくデコレーションされている。


簡素な模様が施された暖炉に、その上に飾られたアート的な地図。棚の中には、男性や女性の躍動的な彫刻、アート的な作りの壺などが羅列され、そして今や地球では博物館か物好きな骨董屋でしか見られない大きなホームクロック。同じ24時間制で助かったと思いながら、時計が刻む時間の音に、ウィルフレッドは物言えぬ情緒を感じた。


「う~んやっぱここのお茶の香りは良いなぁ」

「うん、私もここのお茶大好き」

「あはは、いつも贔屓してくれてありがとう」

メイドのルネが淹れたハーブティーを楽しそうに飲むカイにエリネ達、ルルもまた部屋の隅で用意された専用の皿にある水をたっぷり飲んでいた。ウィルフレッドも一口飲むと、天然な風味の匂いにやはり感動を覚える。


「さて…ウィルくんの記憶の件だけど」

レクスもまた一口お茶をすすると、手で頬を支えてはウィルフレッドに聞く。

「名前以外に自分のことについて何も覚えてないだそうだね、魔法という常識さえもすっかり忘れてるようで」

「ああ…」

「ふ~む…」

柔らかな笑顔を浮かべては自分を見つめるレクスに、何を考えているのか掴みづらいと思い、同じく沈黙したまま見つめ返すウィルフレッド。


「まっ、なにせ雷に打たれたんだもん、そんなこともあるだろうさ」

肩を軽くくすめて一笑するレクス。

「この場合、君から知らないことを質問した方が効率がいいかもね。ウィルくんは何か聞きたいことあるかい?」

ウィルフレッドは暫く考えた。

「…今、この王国は戦争になっていると聞いたが…そのことについて詳しく知りたい」


「ああ、それね。世界的な一大事なはずだけど…魔法の概念さえも忘れたものだから知らないのも当然か。それを説明する前に、まず三大国のことを説明しようか。あっちの地図見てくれる?」

ウィルフレッドが壁に掛けられた地図に顔を向く。


「僕たちがいるこのトリニタン大陸では主に三つの聖王国に分けられていてね。黄色の国はヘリティア皇国、緑色の国はエステラ王国、そして青色の国がうちらのルーネウス王国。このエステラ王国内にある小さな紫色は教会国ミナスだね。残りは独立領とか小国になっているんだ。千年前に三王国が建国されて以来ずっと維持されてきた勢力図だよ」

レクスの言う通り、地図では一つの大陸に三色で大きく分けられた領域があり、そして数多くの大きさまちまちな領域や空白地帯があるのをウィルフレッドは確認できた。


「建国以来、三国は互い交流も盛んでよろしくやって行けてたんだけど、二ヶ月前だったかな、うちらルーネウスの親善団が毎年恒例の親善活動でヘリティア皇国に訪れた際に、ヘリティア皇帝エイダーンの暗殺騒動が起こったんだよ」

「皇帝暗殺…」

少し目を張るウィルフレッド。


「うちの親善団が国王の親書を直接皇帝に手渡した時を狙って暗殺したらしくてね。それで皇国側は、ルーネウス国王が野望を抱いて皇国侵略を企むために皇帝を暗殺した、という説をあげているんだ」

「そんなの奴らの言いがかりに決まってるっ、俺らのロバルト陛下がそんなことするかよ!」

激昂するカイ。


「まあ真実はどうあれ、派遣された親善団はその場で全員処刑されたそうで、皇国の非難にうちらの国王は当然否定した。それでいま臨時に皇国の最高指導者となっているオズワルド宰相がこのことを口実に最後通牒を渡してきたけど、それを拒否したルーネウスに対して宣戦布告をしたって訳」


レクスの話に、このような自然溢れる美しい世界でも、やはり心を持つもの同士の謀略闘争というものは存在するのだと、ウィルフレッドは少ししんみりな気分になった。

「最後通牒と言ってたが、どんな内容だった?」

「ロバルト国王の即時退位。国土の約半分を皇国に割譲。そしてルーネウス王国で行方不明となっているラナ皇女の身柄を渡すこと。だったね確か」


「ラナ皇女?」

「ラナ・ヘスティリオス・ヘリティア。ヘリティア皇国の第一皇女だよ。彼女は皇帝暗殺が行われた時、丁度同じく親善活動でルーネウスの領地を訪れてたんだ」

「結構有名なんですよ。ラナ皇女。まだ若いのに政治面でかなり評価されていて、皇国全土を行脚して自ら人民と接し、各国とも積極的に交流をして、国民からだけでなく他の両国でも結構人気ある方なの」

エリネの補足に頷くレクス。


「武勇さでも、あの獅子姫と呼ばれるエステラ王国の第一王女ルヴィアと並ぶと言われてるね。そんな皇女様はさっき言ったように皇帝暗殺時はルーネウスのオルネス領の領主を訪れてたんだけど、暗殺が起きて数日後、その領主が館ごと焼死してラナ皇女は行方不明になったんだ。それを皇国はこちら側がラナ皇女までも暗殺しようと仕掛けたと言ってきたね」


「あれもどうせ皇国の自作自演に決まってるっ!ルーネウスに皇女を狙ったという濡れ衣を着せるためにあのラナがわざとそう見せかけたに違いないっ!」

「もうお兄ちゃん、いちいち話に割り込まないでよ」

「だってさぁ」


レクスは小さく手を挙げて二人をなだめる。

「まあまあ、カイくんの気持ちは分からなくもないよ。実際、諸説の一つとして今度の暗殺は宰相オズワルドが皇国を簒奪するためにルーネウスを利用したというのもあるからね」

「だろっ?だから皇女の事件もきっとあいつらが…」

「まあでも、皇女の事件と暗殺とはあまり関係ないと思うけどね」

「え…」


「なぜそう思う?」

「いいかいウィルくん。オルネス領ってうちの領地と同じぐらい辺鄙な領地なんだよ?ヘリティア側が王族との繋がりも弱い田舎領主を皇女暗殺の犯人に仕立ててもあまり意味ないんだ。どうせ狙うならもっと地位ある人の方が効果的なんだから」

なるほどとウィルフレッド。


何か言いたそうなカイをエリネは今度服を引っ張って耳打ちする。

「お兄ちゃんっ、今はウィルさんの記憶回復の手掛かりのための話だからこれ以上話をややこしくしないでっ」

「ちぇっ、分かったよ…」

カイはしぶしぶ頷き、腹いせにグイッと茶を飲み干した。


「…戦争ということは、レクスの兵も一部前線にいるってことなのか?」

「いんや。レタ領は田舎で騎士団の兵力も貧弱だからから他の諸侯様みたいに大した助けにはならないし、僕は領地を守るのが仕事だからね。前線に兵を割っちゃうと領地の守りが疎かになるから、ここで立派に自宅警備をしているって訳。ほら実際、ブラン村は盗賊の被害にあってしまったでしょ。ウィルくんのお陰で本当に助かったよ」


「でも本音は単に面倒くさいから前線に行きたくないだけだろレクス様」

「自分はインドア派だから楽しくここで隠居させてもらうって言ってたしね~」「キュキュ~っ」

「こらこら二人とも、せっかく僕が上手く誤魔化せてたのに茶化しないの」


肩をすくめてカイとエリネとともに笑うレクスにウィルフレッドは唖然とする。やはりイメージでの貴族とはかなり離れていて、中々掴みどころのない人だなと思う彼であった。


「とにかく、ルーネウスは以上の経緯もあって絶賛戦争中なんだ。どうだい、これらの情報から何か思い出したことある?」

ウィルフレッドは顔を横に振る。

「すまない、やはり何も思い出せない…」


「そう?世界での一大事だから、これでも何も引っかからないとなるとちょっと厄介な記憶喪失だね…」

真剣そうに自分のことを案じているレクスを見て、ウィルフレッドは少々申し訳なく感じた。目の前の三人は今までの会話でそう悪い人たちなのは分かるが、それでも自分が異世界から来たことを明かすのは、どことなく憚れる気持ちがあった。


「まあ、無理せずにゆっくりやって行こう。とはいえ、記憶がないのなら行く当てもないってことなんだよね?せめて記憶が回復するまでの住処ぐらいは用意しとかないと…」

「あっ、それならうちの教会に泊ればいいじゃないかっ?」

「え…」


「あっ、お兄ちゃんナイスアイデアっ」

カイのいきなりの提案に、エリネも嬉しそうに手を合わせる。

「だろっ、シスターの方は俺から言っとくからさ、記憶が回復するまで教会に泊ってくれよウィルの兄貴っ」


「アニ、キ…?」

いきなりの二人の誘いだけでなく、カイの兄貴呼びに更に困惑するウィルフレッド。

「へへっ、ちょっと照れるけど、さっきの戦いを見て俺すっかり惚れこんじまってさ。あんたのこと兄貴と呼んでも構わないよな?」

「別に構わない、が…」


カイの後ろ髪をぐいっと引っ張るエリネ。

「もうっ、ウィルさん困ってるでしょお兄ちゃん」

「いててっ」


カイの後ろ髪を離しては満面の笑顔で今度はエリネが攻勢をしかける。

「ぜひうちに来てくださいウィルさん。元々教会は困った旅人に宿を提供することもよくあるのですから、ウィルさんの記憶が完全に戻るまで好きに泊ってくれて構いませんよ」

「いいのか…?」

「ええ、困った人を助けるのは女神様の教えでもあるのですから」


彼女はそう言うが、その笑顔は教えではなく本心からのものだとウィルフレッドは感じた。それがとても嬉しかった。

「実際悪くない提案だと思うよウィルくん。その間、こちらも君を知っている人がいるかいないか他の村や商人達に確認してみるよ」


ウィルフレッドはしばし考え込もうとするが、それよりも先に気持ちが言葉となって先行した。

「…シスターや君達が、迷惑でなければ」

「迷惑なものかよ!よろしくな兄貴!」

「やったぁ、よろしくねウィルさんっ」

レクスは賑やかな三人を微笑ましく見守った。



【続く】












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