妖日記

@yatamikami

プロローグ あの頃の私

 小さい頃から私はよく祖父と来た。

多賀山。雄大な桜島が一望でき、春は満開の桜、夏は花火が一望できるとても綺麗な場所。

でも奇妙な場所でもある。


誰もいないのにぶつかった様な感覚。時には声が聞こえたりする。

祖父も誰かと話しているかのような独り言、時には驚いたり笑ったりしていた。

 

ここはそういう所。


この場所に来たからにはやらないといけない事がある。それは掃除だ。

中へ進むと木に囲まれた小さな神社がある。そこを綺麗に二人で掃除していた。祖父がホウキを手に、私は素手で草むしりをした。

それが終わると小さい本殿に手を合わせる。


よく祖父が言ってた。

「愛菜、ワシがいなくなってもここを綺麗にしてくれ。」


祖父はしばらくしてこの世を去った。

私はこの日課を高校生になった今でも続けている。





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