お隣に住む地味で華奢な先輩女子高生が俺の小説のフォロワーだった件。

藍坂イツキ

プロローグ〜流石に陽キャラ過ぎるJK先輩〜

プロローグ 「ラブコメは始まり」

 【プロローグ】

 

 「——相坂君の小説っの、大ファンなんです——っ‼‼‼」


 その言葉を聞いて、俺は心底理解できなかったのだ。

 心底……?

 いや、そういうことではないかもしれない。

 理解できないというよりも、動揺していたのだ。

 

 さて。

 俺こと相坂裕也あいさかゆうやが、なぜ先輩に告白なんかされているのか。

 その真相に迫るとしよう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「——っ、っはぁ、っやべぇ——っよ‼‼」


 入学式、学校初日の四月七日の朝。


 逢坂は家から三分の小川沿いの道を自転車で爆走していた。


 小説が好きな新高校一年生、その名も「相坂裕也あいさかゆうや」。


 特出した凄い能力もなく、ただの無能力者として神様に戴いた人生に青春という名の花を咲かせるために現在、登校ちこくしている最中だった。


「——なんっで、さいっしょから!」


 しかし、そんな高校一年生、つまり、新入生がなぜ遅刻をしているのか。

 今、皆が知りたいだろう……その理由を教えることにしたい。


 そこで知りたいのは相坂の経歴だ。簡単に言うならば、彼はただ単に小説が好きな読書家だった。しかし、まだまだ新人で読書歴は二年目。


 中学二年生の時に初めて出会った小説「ラブコメを語りたい!」に胸を打たれて、今までに読んだ小説の数は四百を軽く超える。


 しかし、そんな彼もこんな言葉を述べていた。


 ——作家になりたい。


 決しては簡単ではない、決して楽ではない道。


 まさに茨の道。


 だが、彼は内に秘めた作家になる夢を叶えるために小説投稿サイト「カクヨミ」でアマチュア作家としてデビューする。


 好きなジャンルはラブコメ、中でもライトノベルがトレンドだ。


 しかし、三日連続で徹夜して、自分の作品の構成を練りに練って製作していたため朝飯もろくに食べられず、結局そのまま家を出るしかなかった。


 ——という、あまりにも自業自得な言い訳。


 まず、小説なんてバズってもいないし、ブクマ百件の壁すらも越えたことがない。

 ブクマ一件の、底辺中の底辺作家だった。そんな男の価値のない言い訳。ダサいにもほどがある。


「——っくそ!」


 しかし、相坂の怒号は風に切られて消えていき、川を凪ぐ心地よい風が頬を撫でる。


 春の甘い風に誘われて眠ってしまいそうになるが今日の相坂は少し違う。

 余裕がこれっぽっちもない。


 しかし。


 そんな彼に襲い掛かるのが、この——いい天気。

 「小春日和こはるびより」という言葉が一番似合いそうな天気だ。


 ——なんて、呑気はしていられない。


「やべぇ、あと10分っかよ……」


 家からそれなりに遠い高校にしていたことが初日で裏目に出てしまった。

 決めたとこだからしょうがない——ただ本当に、それが初日に起こるなんて思いもしなかった。


「……っ、最悪だ——っ‼」


 叫んでも変わるわけがない。


 まず、家から近い高校の偏差値がすべて七十以上の超進学校だったというのもある。ただ、その頂に登りきることができなかったという相坂自身の努力不足には変わりはない。。


「くっそぉ、入学式に行けないのはさすがにヤバい!」


 入学式もすぐに始まるわけではないが教室に入ることも遅れては友達も作りにくくなる。


 初日に遅れた奴——なんてレッテルを張り付けられ、だらしない男認定をされて、クラスの女子から嫌われてしまうのも必至だろう。


「そんなことには——っ」


 非情な現実。


 そして、ラブコメを愛する相坂に対してはひどい仕打ち。


 なにより、ここで時間通りにいかねば青春は崩れ落ちる。

 どれもこれも辛い現実しかないのだが仕方ない。

 それに、時間的にも間に合うわけがない。

 場所的にはここから二十分。


 しかし、相坂はあきらめない。逡巡と焦りを抱いて一生懸命に頑張った。


 とにかく漕いだ。


 全身全霊、中学時代の陸上部の経験を生かしてとにかく駆けた。

 時計は午前8時5分————もう駄目だと思ったその刹那。


 ——運命の時はすぐに訪れた。


 覚醒した瞳と筋肉を最大限に引き出して駆けていく最中。


 目の前を通り過ぎた一台のバス。


 その五列シート後部座席右奥だった。


 同じ高校のシンプルなセーラー服に身を纏い、瞳には丸い眼鏡、そして藍色に輝いた髪。淡い紅色の瞳で一冊の小説に視線を向けている女子生徒を目の当たりしてしまい、ふとこう思った。


「ヒロイン……」


 決して綺麗だったわけでも、美人に見えたわけでもない。


 女優やアイドルには劣るとは思う。


 だけれど、だったとしても……そんな彼女が俺にとって——幻想のような、夢のような。


 神託であり、お告げの様な——


 ————彼と彼女の淡い恋語が始まった合図だった。



(あとがき)


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