私の日常
@1128mikan
第1話
明るい学校。明るい友達。明るい家庭。
人は誰だってそれを夢見る。でも本当にそんな世界が存在するのだろうか、少なくとも私の世界に『明るい』なんて言葉は存在しない。もし存在するのなら、一度でいいから見てみたい……。いや、そんな夢を見てしまったらきっと、もうこの世界には戻りたくなくなってしまうだろう……。
~私の日常
私は
「椿ー今日の三時間目なんだっけ?」
「生物だよ。」
「ありがとー」
そう言って名前も知らない女の子は私の席から遠ざかって行った。
私はいつも一人で自分を強く主張することが出来ないせいで、周りと馴染むことも出来なかったし、馴染もうともしてこなかった。
~学校
そんなある日、私は先生にまた呼び出されて職員室まで行くことになった、憂鬱になりながらも職員室にむかった。
「花乃。お前そろそろ進路決めたらどうだ?お前みたいな自分で何も決められない奴は今のうちから決めてかないと将来無職になるのがオチだぞ?」
「……」
「だいたいなー……」
こうやってほぼ毎日私は先生のストレス発散に付き合っている。私は他人事のような感覚でいつも聞いていたし、内容はいつも同じようなことを繰り返されるだけだから、学校が楽しいとも思わなかった。
~友達
「椿さん。次移動でしょ?早く行こ」
「うん。」
私を連れて行こうとするこの子はクラスの子を虐めてる。
今日も、いつも通りに教室に入ろうとした女の子を引き止め、目を丸くして見ていた。
「なにしてんの?あんたはあっちでしょ?」
指をさす先には女子トイレがあった。虐められてる女の子は無言でトイレの方に歩き出し、結局授業には来なかった。
~家族
疲れきった体で家に帰ると、母が玄関の花にニコニコしながら、ミカンジュースをかけていた。私の母は元々心の弱い人間だったが、3年前に父に捨てられたショックから、精神的に病んでしまった。私がそんな母の後ろを通って自分の部屋に行くと、今度は母の叫び声が聞こえてきて、またか……。そう思いながら、私は枕の下に頭を埋めその声が聞こえなくなるのを待った。
~癒しと変化
学校や友人関係…家、その全てが私にとっては地獄でしか無かったが、そんな私にも唯一癒される瞬間がある。
それは
乙名は、小学校の時からの付き合いで、高校は違うが、私のことを一番よく知っている。乙名と電話で話している瞬間だけは私が本心から笑える時だったし、相談できる唯一の相手だった。
そんな乙名に、今日も電話で今の自分について相談していたとき、「ごめん。前から思ってたんだけど…そんな重たいこと電話で相談されても困る……」と一言言われ、向こうから電話を切られてしまった瞬間だった。私の中で唯一の味方だと思ってた人に切り離されたような感覚になり、私の中の何かが切れる音がした。
~次の日
学校にいつも通りに来た私の足は何故か軽く感じた。また先生に呼び出されたが、呼び出しを無視して、先生のことをあることないことネットに晒してやった。それにいつも私を誘って来る虐めっ子に「私も入れて」と言って一緒に虐めてやった。そうやって私はその日、悪い子たちと一緒になってタバコやお酒を飲んだ。
そして私は少しづつ暗闇の中に落ちていった。
~暗闇の中 そして終わりへ
気づいたときには、もう朝の二時になっていた。したいことを全てし尽くした私は、今までに感じたことがないくらいに満たされていた。クラクラする頭で家に帰ると母が起きていた。
母は私につかみかかってきて、泣きながら「行かないで~」っとか「置いてかないでー」っとか叫んでる声に、私は#最後__・__#にしていなかったことを思い出した。
最後にしていなかったことをするために、傘の取っ手を握り何度も何度も母にむかって刺したり殴ったりした。
何回目だろうか。気づいたときにはもう母は動かなくなっていた。
『嗚呼、これで思い残すことはない……』
私は手に持っていた傘を置いて、お風呂場に行き湯船にお湯をため初め、たまるまでの間にテレビをつけると、テレビではお笑い番組がやっていた。それを一時間くらい見て微かに笑ったあと、私はお風呂場に行ってカミソリを握った。そのままカミソリを手首まで持っていき、私はそのまま手首を切った。意識が遠くなりながらも、湯船のお湯が赤くなっていくのを見て、これまでのことを振り返っていると、自然と涙が流れていた。
『もっと……もっと明るい学校で優しい友達と暖かい家族の中で生きていくはずだったのに……私にあるのは弱い子を虐める子達とそれを見て見ぬふりをして生徒をストレス発散に使う学校。頭のおかしくなった母親……どうして?どうして私には明るい世界を見せてくれないの……?見せてくれれば私だってここまで落ちぶれなかった……私だって』
ー幸せになりたかったー
END
私の日常 @1128mikan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます