第3話 急な出来事(後編)
「は?それ一体どういう事ですか?」
俺のは完全に停止した。美桜が俺んちに住む?一緒に?すると、美桜のお父さんが、
「そのままの意味だよ。知っての通り、うちは僕と母さん共働きでな。今までも美桜に辛い思いさせてきた。だが、今回は結構長い期間でいつ帰れるか分からないから、君のご両親たちに相談したところ、預かってくれるとの事で」
「え、えぇ…」
「それに君と美桜は小さい頃一緒に遊んでいたからこちら側も安心して預けられるのだよ」
「は、はあ…」
理由は分かった。だが、なんだこのラノベ展開は!?てか美桜はそれでいいのか?こんな俺なんかと一緒に住むなんて…
「祥太郎は、嫌、なの?」
何故『嫌』そんなにも強調して言う?そして、何故そんなにも怖い顔でにらめつける?ポケモン「こわいかお」と「にらめつける」がコンボになったようだ。その場合、俺の防御力は一体いくら下がるのだ?
「どうなのよ?」
再度聞いてこられた。
「え、あ、べ、別にいいけど…」
「なら良いじゃない…」
え?何今の?なんでちょっとモジモジして、顔を逸らすの?
「はーい、じゃ祥太郎にも話が通ったところで春崎さん、そろそろじゃない?」
俺の思考を邪魔したのは母さんだった。
「おっと、そうだった!それじゃ祥太郎くん、美桜をよろしく頼む」
「え、は、はい」
「美桜もちゃんと祥太郎くん仲良くするんだぞ?」
「…」
で、ですよね…美桜はいつも通り無表情だ。今度は美桜のお母さんが彼女に近づいて何か言っているそうだが、あんまりよく聞こえない。
すると、美桜の顔がどんどん赤くなっていく。
「ちょ、ちょっとお母さん!」
と美桜が急に叫んだ。俺はビックリした、美桜でもそんな声をあげる事あるんだ…そして、美桜のお母さんがくすくす笑いながら今度は俺に向かって、
「祥太郎くん、娘をよろしく(・・・・)お願いしますね(・・・・・・・)?」
「は、はい、、」
と言い残し、母さんと美桜の両親は玄関へと向かっていった。
「今の聞いてた?」
「え?」
見ると美桜がまだ少し赤く怖い顔で聞いてきた。
「今のお母さんとの話聞いてた?もし聞いてたって言うんなら…」
待って待って、なんか後ろに黒い影が見える!
「い、いや、ちょっと遠かったから聞こえなかったよ…」
「…あっそ」
彼女の後ろにあった黒い影が消えた。なんだったんだ今のは?使い魔?いや、ラノベか。いや、でもtラノベみたいな展開になってしまった。どうしよう。これから美桜と暮らすのか…半分ドキドキと半分恐怖の渦の中にいる俺だった。
「美桜ちゃん、ご両親行っちゃったわよ」
「あ。はい、おばさん」
母さんが戻ってきた。良かった、あのまま美桜といたら、確実に俺は死んでいた。
「それと美桜ちゃんのお部屋なんだけど、丁度祥太郎の隣に一つ空いてる部屋があるからそこ使ってね」
「「え?」」
は?俺の隣?確かにそこには空いてる部屋があるが、なんでよりにもよって俺の隣なんだ!
「わ、分かりました」
そう言うと美桜はパッと俺の方も見て、
「へ、変な事しないでね」
「し、しないよ!」
「大丈夫よ、美桜ちゃん。この子、二次元の女の子にしか興味ないから」
「キモっ」
「さぁ、美桜ちゃんの荷物を運びましょう」
「はい」
美桜と母さんはリビングを出て行ってしまった。いや、別に二次元にしか興味ない訳じゃないし。
それより、
さっきの美桜なんだか、いつもより可愛かったなぁ…いや、ダメだダメだ。殺させる。
でもあいつもあんな顔するんだなぁ、と少し安心した。
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