私服と不思議なシスター

 少し気になる本があったため、街の本屋に来ていたのだが、何やら人の目が1箇所に集中しているのが見えた。


 何事?と思ったが、どうやら有名人がこの街に来ているらしく、野次馬根性が逞しい一般人が周りに集まっているのが見えた。


「………ま、俺にはどうでもーーーー」


「キミ」


 どうでもいいや、と思って帰ろうとすると、背後から何やら聞き覚えのある声が聞こえる。


「おう、なんだシスーーーーーー」


 いつも通り、シスターの声がすんなと思って振り返ると、そこには知らん人がいた。


 いや、顔の造形は知ってる。だって金髪だし、美人だし。可愛い。でも服は知らん。


「……シスター?」


「はい」


 頷くシスター………まじ?ほんとに?


 現在のシスターの格好は、修道服ではなく、そこら辺の今どきの女子が着るような服でもないが、少し落ち着きはあるが、シスターによく似合っていた。


「……ど、どうでしょうか」


 と、何やら緊張した面差しで、俺に服の感想を聞いてくるシスター。


「……いや……まぁ、その……普通に似合ってるよ」


 言ってて恥ずかしくなったので、シスターの顔を見切れずに、ぷいっと顔を逸らしてしまった。あー、顔熱い……。


「……それで、シスターはもう帰るのか?」


「えぇ。買い物も終わりましたし」


 と言って、持っているビニール袋を揺らすシスター。


「……ふーん、それじゃ帰るぞ」


 俺は、シスターが持っていたビニール袋を渡すように手を出した。


「……キミ、その手は?」


「だから、持つから渡せよ」


「……フフっ、ありがとう。やはり優しいなキミは」


「………」


 恥ずかしくなった俺は、なかなか渡そうとしないビニール袋を奪い取るように取ると、そのまま帰路についた。


「……あ、キミ、ちょっと待って……」


 と、慌てて横に並ぶシスター。


 ……ったく。こんなことするのお前だけだっての。

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