バンドメンバー

「ドラムはな、友達に出来る奴がおんねん。ベースは俺が練習中やし。あと、ギターなんや」

「そんなこと言っても、さだまさししか弾けないよ、俺。しかも一曲」

「そんなん練習すればええやん。俺と一緒や」


仁ちゃんにバンドに誘われたのだった。うれしくないわけではない。


でも。


いつまでここに居るのだろう、俺は。

それに、短気な仁ちゃんに合わせてバンドなんてできるんだろうか。


俺は、人と足並みを揃えるのが何より苦手だった。


結局断ったのだ。

バンドの誘いを断るのは高校の時、大学の時とこれで三度目になる。


こりゃ、トラウマになっちまうな。

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