プロローグ2



 これで良いの? カチュア・デイライト。


 与えられるばかりで、何一つ返せない。


 弱虫も泣き虫も、気弱な自分も、ここで別れを告げておかないときっと後悔する。


 私は自分の頬を叩いて走り出した。




 次代の聖女なら、助けてみせろ。


 魔物の群れの一つや二つくらいで怯えるな。


 できるはず。







 ただ幸せだった子供時代に助けれくれた彼を、


 ただ辛くて不安だった聖女候補の自分を助けてくれた彼を、


 今度は私が助ける番だ!


「アスク、待ってて。必ず助けるから」


 





 そうして私は、やがて彼の口から知る事になる。


 乙女ゲームの世界に転生した少年が、聖女の悲惨な運命をかえるために、主人公や攻略対象者の力を借りて運命に挑んだ。


 その物語の全貌を。


 これは終わりに向かう物語などではなく、始まりに至る物語。


 ここで語られる物語は、私がそこにたどり着くまでの、ただの序章部分。


 私が走り出すまでの話。



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