第10話 人任せの解決



 しかし事態は好転する。

 いや、どこで流れが変わったのかすら知らないままに、解決していた。

 アスクが犯人を捕まえてくれたのだ。


 聖女候補ミクリたちと協力して、疑わしい人間を見張っていたらしい。


『護衛のウルド達が、犯人を追いかけて、ミクリ様が最後に説教。すごい剣幕だったぞ! やっぱりすごいな。頭下げて頼んだかいあった!』


 私は自分で行動しなかったことを恥じた。


 濡れ衣を着せられるのが嫌だったのなら、自分で何とかするべきだったのだ。

 結果がついてきたかどうか分からないけれど、すくなくともその努力はするべきだった。


 前世と違って、今の私は色々とめぐまれていたというのに。


 彼に無理をさせてしまったのを、申し訳なく思った。


 彼は、私の事を心配してここまで来てくれたのに、私からは何もしてあげられていない。


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