第282話 結婚願望

凄いもんだな。

昨日の今日で、もうこんなにレスポンスがあるとはね。

流石、最大手の結婚相談所というところか。

『43歳』『年収1億』という餌は、結婚願望の坩堝を大いに攪拌したようだ。


ごめんな。

僕はただ、偽名を名乗った年齢不詳の女狐。

可愛い甥っ子の心を殺した糞詐欺師を探したいだけなんだ。



★☆★


女詐欺師の写真はない。

あるのは、年収1億を叩き出す為の連日の徹夜仕事でヘロヘロになっていた時に、偶然会ったデート中の甥っ子に女詐欺師を紹介された時の記憶だけ。


元から年が離れ、若い内に結婚した姉の産んだ甥っ子なら、苗字も違うし、二十歳超えててもおかしくないよね。


名前・年齢・経歴・年収の全てが解らない相手を探しているので、相手に求める条件が低いのです。

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