第228話 ほころび «菅原道真»

栗皮色の産着をようよう破り、

吾を父と見上ぐ梅花の蕾よ。


其方がゆるゆるとほころび、

五節舞ごせちのまい舞う舞姫の如く、

芳しくも鮮烈な馨香けいきょうを放ち、

松をも惑わす可憐な貌となりゆくを、

慈しめる事叶わぬ吾を許せ。


妻の五十賀ごじゅうのがの絢爛の宴を彩りて、

いつにも増して優美なりし其方を形見に、

いと遠く大宰府へ流れん。



★☆★


菅原道真。

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