第221話 インド人 ② «シャー・ジャハーン»

 娘よ。

 ジャハーナーラーよ。


 其方がそれを望むなら、

 其方の献身に報いて、

 余は、

 アウラングゼーブを赦すとしよう。


 沸き立つ愛おしさは比ぶべくもないが、

 あれもダーラー・シコーと同じく、

 余とムムターズの息子である事に免じよう。


 それにしても、

 窓から見えるあの廟は、

 今日もなんと美しいのだろうな。



 ★☆★


 タージ・マハル廟を建設した、

 ムガル帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンです。


 ジャハーナーラー(次女)

 ダーラー・シコー(長男)

 アウラングゼーブ(三男)は、

 3人ともムムターズ・マハルとの子供です。


 アウラングゼーブは、父を幽閉し、ダーラー・シコーを処刑・市中引き回しの後、その首を父のもとへ送り届けました。

 彼からシャー・ジャハーンへの手紙は、長男ばかり溺愛して、自分を愛してくれなかった事の恨み事ばかりが綴られていたそうです。

 ジャハーナーラーは、幽閉された父を親身になって世話をし続け、彼女の説得で、アウラングゼーブを許す書面に署名しているそうです。

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