第201話 ヘルメット

夜勤の資材運びのバイトを終え、

安全靴に作業服のまま大学に向かうと、

運悪く、*1ランスデモにと遭遇した。


俺の恰好を見咎めた警察が職質に迫ってくる。


違うぞ。

これは、本当にただの安全ヘルメットであって、

断じて*2バヘルじゃねぇ!


なんて言い分は通用しそうにないので、

*3全地帯へと全力で逃げた。



★☆★


全共闘の頃の話。


*1

手をつないで道路いっぱいに広がって行進するデモ。


*2

新左翼の参加するデモや集会時に、機動隊の警棒や、別セクトとの内ゲバの際に頭を保護する為に、セクトに応じて色分けされた工事用ヘルメット。


*3

大学構内の事。

警察は正式な令状が無ければ、大学の自治を脅かす恐れがあるので立ち入れません。


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