第061話 停留所 ① ≪愛新覚羅溥儀≫ ★

妻を待つ。

こんな雨の日にも働きに出た妻の帰りをバス停で待つ。


かつての私はそこにある贅を当たり前に貪っていた。

全てを失くして貴女に会った。


嗚呼、妻の荒れた手が哀しい。

あの頃への未練は無いが、

私の物であった宝を貴女にこそ贈りたい。


愛しい妻を待つ。

今の私にできる事は、それしかないから。


★☆★



TV『知ってるつもり』だったと思うのですが、

愛新覚羅溥儀ラスト・エンペラーの晩年で、溥儀が、帰ってくる奥さんを、じーーっと立って待ってるっていう映像を見た気がするんですよねぇ。


近所だったら職場の門の前でじーーっと待ってそうだし、運転手なんているわけないし、あれはバス停だったのではないか、と脳内補正。


でもって、釈放後は庭師だったと思うので、仕事ができない雨の日なんかは、それこそ一日中じーーっと待ってたのではないかなぁ。


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