第43話 魔ギア。
見知らぬ天井。
ふかふかなお布団。柔らかいベッド?
大きな真っ白なマクラ……。
白が基調な壁、天井から吊り下がるシャンデリア。どういう事? これは……。
——うーん。倒れたのよねレティーナ。それは覚えてる? わかる?
はい?
ってレヴィアさんまだあたしの中にいるの?
——あなた倒れた時に
はう。で、どうしてあたしはこんなところに? っていうかここは何処?
——ごめんさない。わたしにもわからないわ。あなたのゲートが開かないから完全に外部の情報は途切れてたから。今はあなたが見てるものをわたしも見る事ができるんだけどね?
あう、ごめんなさい。
——それよりも早く! ゲートを開けて! 間に合わないかもしれないけど早く!
え? どうやって……。
——どうやってって……、レティーナってマナの手を伸ばす事はできたわよね? あの要領で心の奥に潜るのよ。一番底にゲートがあるはず。
えっと……。うん。やってみる!
あたしは心の奥に手を伸ばすのにこのまま横になったままだと集中し辛くて、ベッドから身体をおこした。
はらっと髪の毛が目の前に揺れる。
って、あれ?
あたしの髪の毛の色、金色に戻ってる!
手には……、ドラゴンオプスニル、あった。ちゃんと腕輪はしたままなのに!
——そのドラゴンオプスニルはあなたのマナが無いと作動しないのよ。そういう魔具。魔ギアっていうの。
ギア?
——太古の機械。どう言ったらいいかな、この世界には元々は無かったものなんだけど……。わたしの心が切り取られこの世界の大気に溶けた時に、世界の秩序となって混ざった概念、かな。
あ、ああ……。
さっき流れてきた記憶の中に、あったかもしれない、そんなおはなしが……。
——元はわたしが書いたおはなし。小説なんだけどね。
おはなしが、混ざったの?
——そりゃあね? 混ざるわよ。この世界ってそういうものなんだから。
そっか。そういうもの、か。
大聖女様、言ってたっけ。人の
意味がよくわからなかったけど、そっか、そういうことか……。
——うん。そういうこと。この宇宙も、人のインナースペースも、元を正せばそんなに差異は無いのよ。あまたの宇宙が泡のように生まれてそして消え、あまたのレイス、インナースペースもまた同じように生まれては消えるの。命ってそういうものなんだから。
はう。
宇宙っていう概念はやっぱりさっきのキオクの中にあったっけ。
なんとなくだけどわかる。
っていうかこの人、レヴィアさん、最初に会った時よりも随分と言葉使いが崩れてきてる?
——あは。ごめんね。ちょっとアリシアが表に出てきてるね。
水森亜里沙、さん?
記憶の中にあった名前。そんな感じ、だった。
——うん。そう。そういう名前。前世の名前だけどね? この世界ではアリシア。魔王アリシアだったんだけど。
——そんなことよりも早く! あーん、もう、間に合わないかもしれないよ……。
え? ごめん、急ぐ。
なにが間に合わないかもなんだろう。っていうか気が散ってなかなか集中できない……。
カチャン
キーっと音がして部屋の扉が開いた。
「レティーナ様、お気づきになりました」
そう部屋の外に向かって声をかけるメイドさん?
っていうか何?
あたしレティーナだってバレてるの!?
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