第34話 魂の奥底。
空間をつまむって言っても、目に見えるものじゃないけど。
人を構成する肉体と
この
その奥底にある穴に向かってぐーっと手を伸ばすようにすることで、外の現実世界に見えない手を伸ばすことができるの。
その見えない手で空を掴むイメージ?
魔法を使うときもそう。
その穴からマナを引き出し力に変える。
ちょっと違うのはこのマナをチカラに変換するってところだけかな。
自分の見えない手でものを掴んだり離したり放ったり、そういうどちらかと言ったら原始的なチカラ? 超常の力っていうとわかりやすいかな? それはマナそのものの力だったりする。
マナで出来た手。そんなものを動かすイメージ。
でも、マナを別のチカラに変換するにはその変換する為の媒体が必要なのだ。
その辺りは実はどんな魔導書にも載っていないのだけど、あたしは感じてる。
精霊のような元素? そんなものの存在を。
魔法を行使するっていうことは、マナをその媒体によってチカラに変換する事だと。
ふつうに習う魔法は、魔法術式とか魔法陣とかそういうものを駆使して魔法を行使する。
でも、じゃぁどうしてその魔法陣や術式が魔法を行使できるのかまでは魔導書には書かれていないの。
結局のところ精神論? 魔力を感じて術式を唱えることで魔法が発動する。それに間違いは無いのだから。
でもね。
あたしが聖魔法を使うとき、あたしの周りには金色の天使が現れる。
その天使にあたしのマナを与えることで、それは聖なるチカラに変換されるの。
見えているわけじゃ無くて感じているだけだけど、その金色の天使は粒子のように細かくて、普段は空間の隙間に隠れているみたい。
あたしが聖魔法を使おうと意識したときにふわわわっと湧いてくるように現れる。それがずっと不思議だったけど、いつしか結局魔法ってそういうものなんだなぁって理解した。
あたしはあたしだけの力でこの聖なるチカラを行使しているわけではないのだと。
この世界のありとあらゆる場所に満遍なく存在する「何か」たちに護られているのだと。
魔獣達を倒し脅威をなんとかできたあたし達。
今夜はとりあえずこの場所でキャンプをはることとなった。
ラウンタークに向かった女性達に連絡をして、合流してから村に帰るのだという。
どうやって連絡をとるの? って聞いたら、ちゃんと連絡用の魔具を持っていた。
離れた場所でも話ができる魔具。一声フタ声送るのに魔石を一個消費しちゃうらしいから長話は出来ないけどそれでも充分。
っていうかケルタルって魔具をすごく便利に使いこなしてることない? 魔弾もそうだしこの通話魔具もそう。
それとも帝国ではふつうにこういうのが普及してるのだろうか? でもそれには魔石の供給が欠かせないよね……。とか余計なことを考えちゃった。
あたし達の馬車はティアがひとっ飛びしてとってきてくれるって言って飛び出して行った。
あたしは……。そうだね。ご飯でも作って待ってようか。
幸いまだ収納に持ってる食材は充分ある。
温かいスープでも作ろうかな。
そんな事を考えながらかまどの準備を始めたら、ケルタルのおじさん達が手伝ってくれたのでけっこう立派なかまどが出来上がった。
これなら大きな鍋も火にかけることが出来るかな。
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