第13話『事件の始まりは神の再来と共に』
翌日、当然の如く神が隠れ家にやってきた。
「おー、クサナギか。アヤはいるか?」
まあ、今更ツッコんだりはしないが。
「アヤですか?あいつなら(いもしないのに)友達と遊ぶとかなんとか」
「おいクサナギ、彼女には優しくしないとダメだろ...」
「誰情報ですか?あれはアヤの勘違いで僕たちは友達です」
僕に対して神は疑うような目線を向けて
「ふーん」
とつまらなそうな顔をした。
「
僕は頭を抱えて叫ぶ。
「あー、あいつか...あいつにはまだ何も言ってないのに...調べられたか...」
『ラップトップ』僕の友人の脳戦士で、まあ色々と常識はずれな奴。そのうち紹介することもあると思うから、ここでは
「んっんー。それより、アヤに何のようですか?」
「ああ、アヤに会いたいって人がいてな。というよりアヤの所有脳獣『アヤカ』に会いたいって」
「まあ、どうぞ。通してください。アヤには僕から言っておくんで」
「だそうです。彼はクサナギ。No.8。ユイの弟で、アヤの自称友人。まあ、信頼できる
そう言われて入ってきたのは、綺麗な茶髪の女性。
「彼女はイギリスの脳戦士。脳戦士幹部のイギリス支部長『ルージュ』」
「ん?僕の耳がおかしくなければ今、『イギリス』の『ルージュ』って聞こえたんですけど」
僕が聞くと
「うん、よかったね。クサナギの耳は正常だ」
何事もなかったように返す神。でも、僕はこの何気ない会話にツッコむべき点があることを知っている。
(ルージュって、フランス語だよな...)
「まあいい。何か事情があるってことにして解決しましょう。それで?そのイギリスのルージュさんが何のようですか?」
その女性。ルージュを向かいの椅子に座らせる。僕の隣には、イツキが呼びにいったアヤカが座っている。みんなが落ち着くとルージュは話し始める。
「私はあなたにずっと
(ん?急にどうしたこの人。いや、今に始まったことじゃないか...)
「
「私は
「えーと、聞いてもいいかな?アヤカ、通訳よろしく」
「僕は、そういう話し方する人に初めて会ったのですが、前に小説で読んだそういうキャラは主語を英語にしていたんですけど、そこのところどうしたのかな?と」
アヤカが訳す。
「
(急に英語増えた...)
アヤカの通訳が追いついて、僕はようやく返事を返す。
「なるほど...」
(たしかに、それが妥当か...小説とかはキャラ作りだけど、これはマジだもんな)
「ごめんなさい、本題からずれてしまいましたね。で、アヤカの家族があなたの仲間、と...。で?どうしたいんですか?」
「私は
「うーん、分かりません。あなたがなんて言っているのか...」
「要するに、だ。ルージュの所有脳獣であるアヤカの両親がアヤカを自分のところで『修練』させようとしているってわけだ。アヤカの今の脳力って
「『二連スペル』です」
「あなたの
「だそうだ」
「でも、私はその人たちを知りません。そもそも脳獣に親なんているんですか?私には、アヤに拾ってもらう前の記憶がないから...」
悲しく、寂しい口調で言った。
「あなたの
「そう...でも、私にとっての家族は、アヤや、隠れ家のみんなだから」
「そう...なら、帰ってもらうか?でも、一体の脳獣は所有脳獣になってから十年以内に他の脳戦士の元で一年『修練』する義務がある。知らない人の所での修練はキツいぞ。心配なら、この話に乗るべきだと、俺は思うけどな......アヤ?」
タッ、タッ、タ
足音が響き、扉を開き、一人の少女が入ってきた。
「......」
「アヤ...いつからそこに?」
「......」
「
「......」
「アヤ...違うの。これはね。そう、人違いで、私いなくなったりしないからね?」
「......」
「悪い、俺こういう時に気を遣ったこと言えないタイプ」
「......」
「...アヤ?」
心配そうにアヤカが言った。
「アヤカは、そのままでも、戦えます。修練なんて、する必要、ありません」
僕は昔、サスケを修練に出したことがある。彼はとある脳戦士の元で一年修業をして、力を増して帰ってきた。しかし、その一年間何かが足りないという思いになった。
それに、アヤには脳獣がアヤカしかいない。だから、彼女がいなくなったらアヤは一人になる。その寂しさを僕は知っている。だから
『一年の我慢で手に入る力』は脳戦士の精神を削る。
一人で、仲間のいなかったアヤに、仲間を作った方がいいと僕が説得して仲間にしたのが
「だから、勝負しましょう。私たちが勝ったら、アヤカの修練は永久免除。それでどう神?」
「ルージュがいいなら」
「
「
力強くアヤが言った。
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