第242話 謎の部屋に隠された秘密
隠し部屋の地下にある空間を調べ続ける俺たち。
――だが、これといって変わった点は発見できなかった。
しかし、このまま終わるとは思えない。
塔のダンジョンのように、この空間にも気づきにくい仕掛けが存在しているはず。特に明確な根拠があるわけではないが、胸の奥から込み上げる漠然とした予感めいたものが俺を突き動かしていた。
一方、騎士たちは騎士たちであきらめきれない様子だった。
無理もない。
長い間、神経を尖らせて守ってきた部屋の秘密が「実は何もありませんでした」ではシャレにならないからな。これは騎士だけでなく、シェンディル国王の願いでもあるのだろう。
そんな俺たちの想いをあざ笑うかのように、広い空間から手がかりは一向に見つかる気配さえない。
「本当に……何もないのか?」
「だとしたら、これまでの苦労はなんだったんだ?」
まずい。
疲労のたまってきた騎士たちから、弱音が出始めている。
「くそっ……何か……何かないのか」
必死になって辺りを探索するが、そう簡単に手がかりは出てこない。
――と、その時、
「あれ? そこはさっき探しましたよ、イルナさん」
「えっ? そ、そうだったかしら……なんだか似たような景色で分かりづらいのよねぇ、ここって」
「同感ですね。私もそう思っていました」
マシロ、イルナ、ジェシカの三人の会話が、俺にある閃きをもたらした。ヒントは――ついこの前に潜った、あの沼のダンジョンだ。
「似たような景色……もしかして……」
俺は一度階段のあった位置まで戻ると、空間全体を見回した。
すると、
「やっぱり……不自然だ」
この空間は、明らかに何者かの手が加えられた人工物。何の目的で作られたのか、その目的は定かでないため、これも決定的な事実とは呼べないが……それでも、大きな可能性を秘めているはず。
「どうかしたの、フォルト」
俺の行動を不思議に思ったミルフィがやってくる。
そこで、たった今思いついた仮説を説明したら――
「それは……あり得なくないかも」
ミルフィも乗っかってくれた。
と、いったわけで、改めてミルフィとともにこの空間を見渡す。そうすると、壁の位置が不規則であることが分かった。
こういった部屋の場合、四角なり三角なり、もっときちんとした形で作るのが一般的だと思うのだが、ここは変に曲がりくねっているのだ。
「最初は気づかなかったけど……こうして全体を見てみると、かなり変わった形をした空間みたいね」
「あぁ……でも……なんだろう。違和感があるんだ」
「違和感?」
「うん。うまく言い表せないんだけど……この部屋を見たことがあるような」
「えっ!?」
俺の発言を受けて、ミルフィが思わず叫ぶ。
それに気づいたイルナやトーネたちも集まってきた。
「どうかしたの?」
「もしかして何か発見したの!?」
「いや、まだそうと決まったわけじゃ――うん?」
ふと視界に飛び込んできたのは、イルナの赤い髪。
赤い髪……赤――
「あっ!」
思い出した!
どこかで見たことがあるって感じてたんだよ、この部屋の形!
そのヒントは――ガーネス・シティでの戦いの中にヒントがあった。
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