第228話 脱出不可能ダンジョン?
竜の瞳を使ってダンジョンを脱出し、外側から攻略を挑むグループと、ダンジョン内にとどまって内側からの攻略に挑むグループ――二手に分かれて攻略することとなった。
「さて、と……あたしたちはどうしようか」
「周辺調査」
「まあ、確かに、この辺のことをもっとよく調べれば打開策が浮かぶかもね」
ダンジョンに残ったイルナとトーネのふたりは、早速独自の調査を行う――はずだったのだが、
「というか、そんなまどろっこしい手を使わなくても、とりあえず壁を壊していけば外に出られるんじゃないかしら」
「イルナ、名案」
「…………」
いやいやいや。
暴れ回ってダンジョンが崩落でも起こしたら、俺たちは生き埋めになってしまう。今も似たような状況ではあるけど、やり方次第では安全に外へ出られる――はずなので、強硬策はもうちょっと待とう。
――という内容をイルナとトーネに告げる。
ふたりは若干不満げだったが、さすがに生き埋めはよろしくないと判断したのか渋々ながらも承知してくれた。
改めて、このダンジョンの特性を考えてみる。
ランダムに、しかも数分おきというとんでもない短期間で構造をガラリと変えてしまうダンジョン……これでは、それまで呼ばれていた沼のダンジョンから改名をしなくてはいけないな。
「……うん?」
その時、俺の頭にある引っ掛かりが。
「もしかして……」
以前、イルナの父親であり、俺の所属している冒険者パーティー【霧の旅団】のリーダーを務めるリカルドさんからこんな話を聞いたことがあった。
それによると、世界中に数多くあるダンジョンの中には、その中の構造がある日を境に劇的な変化を遂げることがある――って言っていたな。
そうした現象を「転換期」というらしい。この沼のダンジョンも、今や沼地というより目まぐるしく変化を遂げる迷いのダンジョンに変化している……つまり、転換期の只中にあるというわけだ。
……まあ、だからといって、それが外へ出る手がかりになるわけじゃないんだけど。
大きくため息をついた時、
「あっ! くそっ!」
「また変わりやがった……」
「どうなってやがるんだ、ホント!」
ダンジョン内にとどまった数人の冒険者が、変化するダンジョン内の様子を見てそう声を漏らす。
……む?
「あれ……?」
再び抱く違和感。
しかし、それは明らかにさっきまでの違和感と異なっていた。
なんだ……俺は一体何に違和感を抱いているんだ?
「トーネ、さっきからそっちばっかり見てるけど、何かあるの?」
「……変わってない」
「えっ? 道ならずっと変わり続けているじゃない」
トーネの言葉と、それに対するイルナの疑問。
何気ないその会話が耳に入った時――頭の中で思考が弾けた。
「もしかして……!」
これが、このダンジョンの突破口になるかもしれないぞ。
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