第229話 突破口

 短い間隔で構造を変えていく謎のダンジョン。

 迷い込んだ俺たちは、そこから抜け出すためにさまざまな策を講じたが、今のところは成果ゼロ。


 だが、ここへ来てある事実に気がついた。

 そのことをマットさんたちにも教えようと、メンバーに集まってもらった。


「何か分かったのか?」

「えぇ。もしかしたら、内部から突破できるかもしれません」

「ほ、本当か!?」


 驚く面々に、俺は自分の気づいたことを説明した。

 それは――


「目まぐるしく構造が変わっているダンジョンですが……実はそうじゃないんです」

「ど、どういうことだ!?」

「さっき、地図と照らし合わせながら変化を見ていたんですが――一ヵ所だけずっと変化しない場所があるんです」

「へ、変化しない場所?」


 冒険者たちは顔を見合わせる。

 これまで、まったく違ったルートに変化していたと思っていたダンジョンだが、ただひとつだけ、いつまでも場所が変わらない道があった。そこを通っていけば、もしかすると出口にたどりつけるのではないか――それが、俺の出した仮説だ。


「な、なるほど……」

「だが、その通りに進んでも出口にたどりつけるかは分からないのだろう?」

「えぇ。確証はありません。でも、この膠着した状態から一歩進める可能性は十分にあります。うまくいけば、ここまで戻ってくるルートも分かりますし、皆さんと一緒に外へ出られると思うんです」

「……確かにな。このまま今の場所にとどまっていても解決はしない。外へ出て行ったメンバーがすぐに助けに来てくれるという確証もないからな」


 マットさんは俺の考えに賛同してくれるようだ。

 それと‥…彼の言ったことは、俺の思考とまったく同じだった。


 竜の瞳で外に行ったメンバーは、今頃俺たちを救うためにいろいろと手を打ってくれているだろう。だが、すぐに結果が出ることはないと思われる。


 だから、こちらからもアクションを起こしていかなければならない。

 もしかしたら、外にいるメンバーが俺たちを見つけだすヒントになるかもしれないし。

 なので、


「俺がそのルートを進んでいきます」


 自ら提案したことだし、ここはまず俺が出るべきだ。

 さらに、


「フォルトが行くっていうなら、当然あたしも行くわ!」

「私も」


 イルナとトーネのふたりが立候補。

 

「俺もいくぜ!」

「わ、私も手伝います!」

「僕も!」


 冒険者組からは三人が手を挙げてくれた。

合計六人。

 これだけいれば、調査する人員としては大丈夫だろう。


「マットさん、俺たちでルートの調査をしてきます」

「分かった。俺たちはここで待機し、外からの救助を待つ」


 その役割もまた重要だ。

 マットさんと残ったメンバーには、それをお願いしよう。


「では、そちらのリーダーはフォルト――君に任せたよ」

「はい!」


 いつもとは違ったメンバーで、この謎だらけのダンジョンに挑む。



…………………………………………………………………………………………………




【お知らせ】


 新作を投稿しました!


「聖樹の村で幸せなスローライフを! ~処刑宣告された少年は辺境の地で村長になる~」


https://kakuyomu.jp/works/16816927860376109239


 今回の新作はタイトルにある通り!

 スローライフ×ハーレム×村づくりにプラスしてちょっとした「ざまぁ要素」もあります。

 以上の要素がお好きな方はぜひ読んでみてください!

 そうでもないという人もこの機会にぜひ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る