第215話 これから
賑やかな喧騒に包まれたガーネス・シティ。
――いや、すでに町を支配していたドン・ガーネスは連行されたので、その呼び名は相応しくないな。
こうなる前は、昼間に見てもどこか妙に暗いところがあって、薄気味悪さがまとわりついていた。
それがここまで変わるなんて……驚きだな。
この町の再建には、カタルスキーさんが中心となって進められていくことが決まったようなので、きっとより良い方向へ導いてくれるだろう。
そのカタルスキーさんからの指示で、俺はとある建物へ向かうことになった。そこはこの町の復興計画を進めている運営チームの臨時本部らしく、今はそこに霧の旅団のメンバーもいるらしい。
ただ、そうなると俺ひとりだけで行くというわけにはいかない。
俺はマシロを除くメンバーを起こしに行くため、一度診療所へと戻った。
すると、すでにミルフィとジェシカのふたりは目覚めていて、身支度を整えている真っ最中であった。
「あっ、フォルト」
「どこへ行っていたんですか?」
「ちょっと外へ。あまりにも賑やかだったものだから、気になってさ」
「確かに、まるで別の町にいるみたいですね」
ジェシカのたとえはまさにもっともだと思う。
俺は未だ夢の中にいるイルナとトーネを起こし、まだ意識が戻らないマシロを除いたみんなで霧の旅団のもとへと向かうことにした。
「今回は大仕事をやってのけたな、フォルト」
「ホント、一報を聞いた時は驚いちゃった!」
復興運営本部(仮)に着くと、早速リカルドさんとアンヌさんが俺たちを出迎えてくれた。
「パパ!」
「イルナもよくやった。さすがは俺の娘だ」
すでに再会の挨拶は済ましていたが、あの時は大きな戦いの前だったからあまりゆっくりとできなかったからな。イルナが喜ぶのも無理はない。
親子水入らずの再会を邪魔してはいけないと、アンヌさんから今後についての話を聞いた。
「私たちはもうしばらくここで復興作業のお手伝いをした後、大迷宮のダンジョンに戻るつもりだけど……あなたたちはどうする?」
「俺たちはこのまま冒険を続けます」
いずれは大迷宮のダンジョンの調査にも加わろうと思っているが、今はまだ世界のダンジョンを見て回りたい。
その気持ちはまだ強く残っている――が、それだけじゃない。
「それとあとひとつ……今回の戦いを通してある人物に会ってみたいという気持ちが強くなりました」
「ある人物?」
これはまだ誰にも話していなかったので、ミルフィたちも驚いた顔でこちらも見つめていた。
その会いたい人物とは――
「聖女ルナリア様です」
フォーバートさん率いる聖騎士団に守れた世界最高の
バッシュさんやマルクスさんといった名だたる
彼女が住むという聖都を目指しつつ、道中にあるダンジョンに挑戦していく。
俺はそんな旅の航路を思い描いていた。
――まあ、まだ誰にも相談はしていなかったので、これから大いに変更の可能性はあるのだが。
しかし、
「私はその提案に賛成よ」
「聖女ルナリア様……確かに、気になる存在でしたからね」
「私も気になる」
ミルフィ、ジェシカ、トーネの三人は賛成してくれた。
あとはイルナと、まだ目を覚ましていないマシロのふたりだ。
こうして、俺たちの旅は新たな局面を迎えた。
聖女ルナリア様のもとを目指し、これからもダンジョンに挑み続けていく。
頼れる仲間たちと一緒に。
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