第213話 最後の挑戦
女神の鍵から得た新たな力。
残されたわずかな時間で目的を達成するためには、それに頼るしかなかった。
「待ってろよ、マシロ」
鬼気迫る思いで探索を続けていると、ジェシカがメタル系モンスターを発見する。
俺たちはこれまで通りの連携でモンスターを追い込むと、撃破に成功。その姿は赤色の宝箱へと変化した。
「さて……ここまでは今まで通りだけど、ここからどうするの?」
トドメを刺したイルナが尋ねる。それに対し、俺は女神の鍵を掲げた。
「新しい力が……俺たちを導いてくれるはずだ」
「! も、もしかして――」
今回もそうなのだろう。
夢で聞いたあの声が示したように、俺は出現した赤い宝箱へと近づくと、女神の鍵を使用して解錠しようとする。
メンバー全員が固唾を飲んで結果を待つ――その時、
「!?」
不思議な感覚が俺の全身を貫く。
それに驚き、鍵を持つ手が止まってしまった。
「ど、どうしたの、フォルト」
心配そうにミルフィが尋ねてくれたおかげで、俺はハッと我に返れた。
……のんびりしている暇はないんだ。早くこの宝箱を開けて、虹の首飾りを入手し、マシロのもとへ届けなければ。
意を決して、女神の鍵を回して解錠する。
次の瞬間――驚くべきことが起きた。
鍵が開いた手応えを感じた後、一瞬の閃光が俺たちを襲う。それが終わると、宝箱にとんでもない変化が起きていた。
「!? こ、これは!?」
なんと、それまで赤色だった宝箱が、金色の宝箱へと変わっていたのだ。
「えっ!? な、なんで!?」
「た、宝箱がグレードアップしたみたいですね」
「不思議」
ミルフィ、ジェシカ、トーネの三人も、宝箱に突然起きた未知の現象に驚きの声を漏らす。無理もない。ドロップしてから宝箱の色が変わるなんて話は、これまでに一度も聞いたことがなかったからな。
「これが……新しい鍵の力なのか……」
解錠レベルはそのままに、宝箱のグレードだけを上げる。
恐ろしい力だと思う反面、だからといって状況が好転したかと思うとそうではない。なぜなら、たとえ金の宝箱であっても、俺たちが狙っている虹の首飾りが入っていなければ意味がないからだ。
――って、待てよ。
「もしかして……この鍵の本当の力って……」
俺は真相を確かめるため、宝箱を開ける。
中に入っていたのは――やはり、探し求めていた虹色の首飾りであった。
「!? これは間違いなく虹の首飾りですよ!」
「や、やったじゃない、フォルト!」
「凄い」
「これでマシロは助かるのね」
四人は大いに喜び、俺もマシロが助かるという事実を噛みしめてガッツポーズをとる。
――が、同時に女神の鍵によってもたらされた新しい力に驚愕していた。
望むアイテムが確実にドロップする力。
それはまさに、誰もが欲するだろう禁断の力。
俺はそんなことを考えていた。
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